この特集について
Sports@nifty > スポーツレポート > 戸張捷のゴルフ特集 > 不動裕理の復活に期待する
この特集は、ゴルフプロデューサーでありゴルフキャスターである戸張捷が、国内のゴルフトーナメントはもちろん海外のゴルフトーナメントやゴルフ事情などをお伝えいたします。トーナメントの舞台裏やプロの内緒の話など戸張捷ならではの視点でお伝えする予定です。
この特集は携帯サイトでもご覧いただけます。
モバイル版 Sports@nifty
プロフィール
カテゴリー
関連リンク
ココログ






ココログ: blogサービス
「戸張捷のゴルフ特集」は @niftyのウェブログ(blog)サービス 「ココログ」で運営しています。あなたもココログ始めてみませんか?ココログ(フリー)は、だれでも無料でご利用いただけます。
ココログって何?
ココログ使い方ガイド

戸張捷のゴルフ特集

不動裕理の復活に期待する

国内女子ツアーも、今週の最終戦、明日からのツアーチャンピオンシップを残すだけとなりました。

今シーズンを振り返って、とても気がかりことがあります。今年も春先に2勝したのですが、昨年まで6年連続賞金女王だった不動裕理の急激な失速です。これがテクニカルな問題、あるいはどんなに素晴らしいプレーヤーでも避けられない年齢による身体能力の変化で、いずれはその変化にアジャストできる問題であればいいのですが、「バーンアウト」、いわゆる燃え尽き症候群で闘うモチベーションを失ったわけではないことを願うところです。

 私は、かねてから不動に対しては最大限の賛辞を送ってきました。それは6年連続賞金女王といった数字に現れる実績に対してではなく、ゴルフに対する貪欲な姿勢を評価してのことです。

「もっと強くなろう」とする彼女の姿勢にはこれまで幾度も驚嘆させられました。

今年も、その象徴的な出来事がありました。9月の日本女子プロゴルフ選手権のことです。今年の同大会は北海道のニドムクラシックで開催されました。北海道の今夏は猛暑のため芝の発育が悪く、同コースでもフェアウェイがところによっては芝付きがまばらな状態でした。そこに大会初日の大雨。フェアウェイでも芝のある箇所と、芝が薄くベアグラウンドに近い箇所では、ボールのライの状態が違いすぎてアンフェアになるとの判断で、競技委員会は初日、2日といわゆる「6インチルール」を採用しました。スルーザグリーンでは、ボールを拾い上げ、拭いたうえで6インチプレースを認める特別ルールです。

 ところが、不動は同ルールを一度も使いませんでした。そうした選手は、恐らく彼女ひとりだったようです。

報道によれば、そのことについて不動は、

「ゴルフは、ボールをあるがままでプレーするスポーツ。ほとんどのホールで(芝の状態が)良くないから、この大会だけを考えれば(同ルールを)使ったほうが上位にいけるし、スコアも良くなると思う。けど、毎回使えるわけではないので、長い目で見たらそのまま打ったほうが自分にはプラスになると思って使わないようにしています」と答えていました。

 この発言が意図するところを詳しく説明したメディアはないので、彼女の真意はよく伝わっていないのでは……? スポーツ新聞には、単に彼女がルールに厳格だからといった表層的な理解を紹介した記事もありました。

 私が思うに、彼女の真意はこうだったのでしょう。

「ボールがあるがままにプレーするのが基本。だから、今後の試合で似たような状態のライになったとしても、必ず6インチプレースが使えるわけではない。だったら、同ルールを使わないで、悪いライからのプレーの経験を積んだほうが、自分にとってプラスになるから使いませんでした」

 つまり不動は、同大会の成績だけではなく、将来までを考え、自分のゴルフにとってどうしたほうが「プラス」かを判断し、特別ルールを使わなかったのです。

 数年前のフジサンケイレディスでこんなことがありました。大会コが、まだ富士桜CCで行われていたときのことです。

大会2日目の16番パー3で、不動はティショットをダフり、ボールをグリーン手前の池に落としてしまいました。

この場合、普通は池の手前まで進んでドロップし、ウェッジで第3打のアプローチを狙います。

ところが、彼女は迷うことなく、ティからの打ち直しを選択したのです。

その試合の成績だけを考えれば、前進し、ウェッジでアプローチした方が断然有利です。彼女の技量を持ってすれば、寄せワンでボギーで上がる可能性も大きかったでしょう。

しかし、不動は自分のゴルフを高めるには、その160ヤードほどのティショットをもう一度打ち直したほうが良い。その方が自分のゴルフに「プラス」になると判断したのです。

 その真意に触れたとき、不動の貪欲な姿勢に驚嘆し、底知れないスケールの大きさに関心させられたものでした。

だからこそ、来季の復活を心から願わずにはいられません。


| 固定リンク