2006年12月31日 (日)

年末のご挨拶

いよいよ2006年も終わろうとしています。日本の年末は何かと慌ただしいようですが、仕事納めは終わりましたか?今年の年末は例年よりゴルフ場は、賑っているようです。みなさんも2006年の“打ち納め”はいかがでしたか?私の年末は、秋のトーナメントの反省会や、来年の春のトーナメントの打ち合わせなどが始まっていて相変わらずの年末でした。

さて、2006年も男女のトーナメントでは、様々なことが起こりました。女子ツアーでは、宮里藍の人気はもちろんのこと、大山志保の記録的な賞金女王の誕生や横峯さくらのがんばりなど、豊富な話題で男子ツアーを上回りました。先日お伝えしたように非常に残念な出来事もあったのですが、来年も女子ツアーはがんばってくれるでしょう。一方の男子ツアーでは、スコア改ざんなどのネガティブな話題が先行してしまったような気がします。スター選手不足も少し深刻ではないでしょうか?いずれにしても「ゴルフ」という歴史と伝統のあるスポーツをもう一度、すべてのゴルファーが考え直す時期ではないでしょうか?特に日本のゴルフは世界の中で違う方向へ行ってしまうような気がします。2007年は「ゴルフ」というスポーツを見つめ直す年にしていきたいと考えています。私自身も2007年は、新たな気持ちで一つ一つのトーナメントをプロデュースしていきたいと思っています。

今年の6月終わりから約半年間、このブログを見ていただいた方には感謝しております。来年はもっと楽しいお話や情報をお伝えしていければと考えています。半年間、ありがとうございました。

来年は、1月の“SONY OPEN ハワイ”のテレビ(フジテレビ系列)が、みなさんにお目にかかれる最初の仕事となります。このブログ同様、テレビ中継もお楽しみください。

それでは、みなさん、良い年をお迎えください!

2006年12月31日 (日)|固定リンク

2006年12月30日 (土)

年末に再度憂うべき出来事

 一年を締めくくろうという時に、またもゴルフ関係者を嘆かせる、「唾棄すべき」所業が明らかになりました。メディアで報じられているので詳しく紹介しませんが、女子ツアーのQTにおいて、若手の某選手がスコアを改ざんしていたことが判明。日本女子プロゴルフ協会は、事実を確認後、すぐに同選手を10年間のプロ資格停止としました。

 正直、言葉を失います。

 ご存じのように、この8月、日本オープンの予選会で、将来を嘱望されていたある若手選手が同様のスコア改ざんを行いました。ゴルファーが自己のスコアを正直に申告しなければ、ゴルフは現在の競技形式では存在しえません。ですから、彼の行為は「ゴルフの存在そのものを踏みにじるもの」として、厳しく指弾され、この出来事は大きな騒ぎとなりました。

そして、単に彼個人を非難するのではなく、そうした選手を生み出した現在日本のゴルフ界の環境、価値観が問い直されることとなったのです。つまり、「ゴルフ関係者、皆が反省すべき事態では」という反応です。その矢先に、またしても……。日本のゴルフの根本的規範が壊れつつあるのでしょうか。

 

かつて日本ゴルフ協会資料委員長も務めた、作家でありゴルフ史家の故・摂津茂和氏の著書『不滅のゴルフ名言集』に、イギリスの新聞に掲載された言葉として、次のような言葉が紹介されています。

「ゴルフを悪く(Worse)したのはアメリカ人だが、ゴルフを最悪(worst)にしたのは日本人だ」

 イギリスのゴルファーにとって、ゴルフをレジャー化したアメリカ人は「ゴルフ文化を歪曲した」という理解なのでしょう。ところがさらに、経済大国となって以降、日本のゴルファーはエチケットやマナーを解さない、最悪のゴルファーと映ったようです。同書には「日本大使館に、日本人ゴルファーお断りの強硬な抗議をしたイギリスのゴルフ倶楽部でも、厚かましいエコノミック・アニマルたちが、日本独特の『コンペ』なるものを催して、盛りたくさんの賞品をもとに、ガツガツしたプレーをした挙句、食堂では傍若無人にワイワイ騒いだのであろう」という一文があり、それゆえに「日本人がゴルフを最悪にしたという皮肉は当たっているのかも」と続けられています。

 私も20年ほど前に、ある若者向け雑誌に同様のエッセーを書いた記憶があります。それはタイのあるゴルフクラブで、日本人のコンペ後のパーティを見かけたときのことでした。当時のタイのクラブです。当然、名門クラブであり、そこに集うメンバーは自国の「ゴルフ文化の担い手」としての誇りを持っていたはずです。そこに、いわば「金にあかした」日本人ゴルファーが我が物顔で、アルコールが入った勢いで大声を発しながら、なかにはベットの現金清算をするといった振舞いを見て、とても悲しく、恥ずかしい思いをしたのです。

 当時も、そしてそれからも、私は機会あるごとに「ゴルフにとって大事なものは何か」を問いかけてきたつもりです。

にもかかわらず、今回のスコア改ざんという、ゴルフにとっては最もあってはならないことが、しかもともに20代の若者によって行われるとは……。当事者はむろん、彼らの指導者は指導の過程でいったい何を教えてきたのでしょうか。

 2000年だったと記憶します。R&Aは「委員会はマナー違反にも罰打を課すことができる」というローカルルールを認める改訂を行いました。それは、R&Aがアジア、アフリカのゴルフ未開の土地に今後ゴルフを普及させるのに際し、エチケット&マナーの浸透が後回しになる事態を恐れてのことと言われています。つまり、ペナルティがあれば、エチケット&マナーを覚えようとするだろうという狙いです。

 エチケット&マナーはゴルフというゲームの大前提です。そのため、ゼネラルの『ゴルフ規則』にはエチケット&マナー違反に対する罰打はありません。それを守れないゴルファーは、いるはずがないという前提があるからです。

 さて、今の日本はどうなのでしょうか。

今回の事態を受け、再度、指導者にはただ技術を教えるのではなく、ゴルフの文化や精神をきちんと教えてもらいたい。そう望まざるを得ません。

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この写真は、今年、浜松町に新築された文化放送の新社屋のスタジオから今年最後の収録前の様子です。

2006年12月30日 (土)|固定リンク

2006年12月28日 (木)

アジアンツアー

先月、アジアンツアーは07年のツアースケジュールを、まさしく誇らしげに発表しました。そのリリースには、「アジアンツアーは07年、全29試合で賞金総額2650万ドル(約31億円)を超えるという、ツアー史における画期的な年となります」と謳い上げられています。

現在のアジアンツアーは2004年に発足した歴史の浅い組織ですが、3年目の今季も既に全27試合、賞金総額2400万ドルにまで成長していました。それが、中国・アジアの経済成長の勢いをかり、わずか4シーズン目の来季、ついに日本ツアー(全24試合、賞金総額30億2000万円)を追い抜くことになったのです。今後の追加で、最終的に30試合を超えるとの見通しも示されています。

そのため、アジアンツアーのハン会長はリリースのなかで、07年のスケジュールは、アジアンツアーが世界で最も急拡大するツアーとして、新しい時代を迎えたことを宣言するものである。これからは我々のツアーメンバーが、アジアンツアーの内外で素晴らしいパフォーマンスを見せながら、世界のゴルフ界で活躍していくことだろう。アジアンツアーは、世界のプロゴルフ界において注目されるポジションに立った。その結果、今後は世界のツアーに新しい局面をもたらすと信じている」といった、まるで“勝利宣言”のような、自信に溢れた発言が随所に見られます。もちろん07年のツアーイベントには、欧州ツアーとの共催、あるいは欧州と豪州ツアーとの共催イベント――それは、つまり大きなスポンサーのトーナメント――が9試合もあり、その共催のお陰で規模が拡大したことは否定できません。しかし、単独競技でもシンガポール・オープンは400万ドル、HSBC選手権は500万ドルですから、日本のトーナメント規模(今季最高は日本オープンとダンロップフェニックスの2億円)をはるかに凌駕しています。

 半面、パキスタンやカンボジアといったゴルフがまだ普及していない国々でのトーナメントは30万~50万ドル(3500万~6000万円)程度で、この小規模の大会がツアーの半分ほども占めている不均衡、まだら模様の構造は残されています。それでもハン会長は、傘下のアジア各国で万遍なく、なるべく多くのトーナメントを開催し、一般市民にプロのプレーを見せることでゴルフの普及につなげたいのでしょう。そして、それが最終的にツアーの繁栄に結びつくという“戦略”があるのでしょう。

 また、ハン会長は欧州ツアーなどとの共催が9試合もあることについて、「戦略的パートナーとの国際的な協力関係は、スポンサーとプレーヤーがともに大きな利益を得る機会を創造するものとして、依然重要である」として、その有益性を強調しています。ここからは「欧州ツアーとの共催で大きなスポンサーを捕まえることで、ツアーとプレーヤーに余裕をもたらし、その分でゴルフ途上国での規模の小さい大会を維持していこう」という“戦略”がうかがえます。

 

 現アジアンツアーがスタートした04年、日本ツアーとの共催競技・沖縄オープンで来日したハン会長は、ゴルフ関係メディアに積極的に登場し、「アジアンツアーは発展途上なので、日本ツアーとの共催は今後もっと増やしたいし、日本ツアーの支援もお願いしたい」と強く訴えていたことを覚えています。

 それが今や……。寂しいことに、今回のスケジュール発表のリリースには、その沖縄オープンの中止については、一言の言及もありませんでした。

立場が逆転したのでしょうか。もしそうであるとすれば、彼我の差は、中国・アジア諸国と日本の景気の差だけではないのでしょう。アジアンツアーにあって、日本ツアーにないのは、国際的な視野に立った“戦略”なのでは? ハン会長が、欧州ツアーと積極的に共催することで大スポンサーを呼び込んだような……。

 日本はもともと島国で、外交下手、戦略性外交に劣ると言われてきました。日本ツアーも、これまでは目を内向きにしていても生きていくことができました。しかし、これからは国際的なポジションを明確にし、世界との関係を構築しなければ、成長戦略は難しい時代です。例えば、「欧州・アジアンツアーとの強力関係を深め、中国でのトーナメントはすべて3ツアーの共催競技にする」。あるいは、「米ツアーの下部ツアーと位置づけ、米ツアーのシード落ちした選手にはファイナルQTの受験資格を与える替わりに、賞金ランキング上位10位まで米ツアーのシード権を認めさせる」。いずれも日本選手の出場枠が狭まるため、選手側からの強い反発があるでしょう。でも、ツアー上層部に明確なビジョンと戦略があれば、断固とした指導力が発揮されるはずです。

 もともと好況な米ツアーが、フェデックスカップというドラスティックな変革を断行する時代。日本ツアーの停滞がひと際目立つのはなぜなのでしょうか。

2006年12月28日 (木)|固定リンク

2006年12月16日 (土)

今後のLPGAに一言!

先日、男子ツアーに続いて日本の女子ツアー(LPGA)の来年のスケジュールが発表になりました。寂しい男子ツアーとは違い、試合数は36試合(近未来通信が開催を中止し、アクサ生命保険が新規開催で増減なし)。ツアーの賞金総額は史上最高額の今季を1億円以上上回る28億7820万円となりました。

また、シード選手の平均年齢は、2年前より約4歳も若い、28.96歳となり、世代交代がうまく進んでおり、来季も白熱した戦いが見られるのではないでしょうか?そういう意味では楽しみが多い女子ツアーなのですが、冷静に今のLPGAを見ると心配がまったくないのか?と言うわけではありません。

宮里藍が今年は初めから海外参戦で抜けたものの、横峯さくらや大山志保などの新しいスターが登場し、日本のツアーを支えてくれました。さらに宮里藍も秋の日本女子プロゴルフ選手権から数試合に参戦し、活躍したことも今年の女子ツアーの活況につながったと思います。

今後、アメリカのツアーには大山をはじめ日本のトッププロが参戦していくことになるでしょう。また、今年も活躍していた韓国や台湾などの外国人選手の存在も無視できません。来季の出場権をかけたLPGAのクォリファイングトーナメントでは、上位に8人の外国人選手が入っており、彼女たちもまた、優勝争いに加わる存在だと思います。特に韓国人選手の活躍は、アメリカツアーなどを見てもめざましいものがあります。アメリカの賞金ランキングの上位30位内に12人が入っており、日本でも、ベスト5のうち3人は韓国の選手です。

関係者の中には、外国人選手の出場枠に制限を設けては?という発言をしている人もいるようですが、果たしてそれが正しい判断なのでしょうか?プロスポーツでは、世界の中でいかに戦うか?世界フィールドの中でプレイヤーがその力を発揮し、そのイベントが世界の中で地位を確立していくことが大事なのではないでしょうか?ゴルフだけでなく、野球などもアメリカが世界一のツアーになるのには、それなりのマーケットが作り上げられて、その中でトーナメントやゲームが作られ、そして、世界の中から選ばれたトップのプレイヤーが集まり、結果として世界最高峰のツアーになっていったのではないでしょうか?日本の中に世界レベルのトーナメントが存在すれば、自ずと世界のトッププレイヤーが集まってくるのではないでしょうか?そういうことを考えると、国内で外国人選手を制限するなどということをしては、いつまでたっても世界レベルのスポーツマーケットは確立されないのではないでしょうか?日本人として、日本選手が勝たないと盛り上がらないと思うのであれば、日本選手が本気で戦う姿勢をもっと見せて欲しいものです。締め出して日本国内だけで盛り上がることが本当に良い結果を生むわけはありません。

今のように人気があり、活況を呈している時こそ、日本のLPGAも将来のための方針や、政策を真剣に考えておく必要があるのではないでしょうか。それは男子ツアーの話でも触れましたが、ジュニアの育成であり、ツアーとしての環境作りであり、5年後、10年後のゴルフ界を見据えた政策をしていかないと、数年先に男子と同じ道を歩んでしまう可能性は否定できないでしょう。手遅れになる前に考えてもらいたいと思います。

2006年12月16日 (土)|固定リンク

先日、来年の日本の男子ツアー(JGTO)のスケジュールが発表されました。結果は、5試合減の24試合ということになりました。現在の男子ツアーの状況を象徴するような結果に、予想はしていたものの少し驚きました。

今の男子ゴルフには、強い選手やゴルフの“うまい選手”は確かに以前より増えています。しかし、この強い選手や“うまい選手”だけでは、多くのファンはついて来ないのでしょう。プロスポーツの世界には、強い選手だけではなく、「魅力ある選手」が欠かせないのです。日本の女子ツアーは、宮里藍や横峯さくらという「魅力ある選手」が登場したことで、現在の盛り上がりを見せています。例えば、相撲の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。千代の富士や貴乃花と言った「魅力ある選手」がいた時代と、今のように“強い”朝青龍しかいないような時代とでは、やはり一般に対するアピール度が違います。

また、男子ツアーの現状に対し、いろいろな方面の人々が「選手がだらしない!」等の発言をしているようですが、本当に選手だけの責任なのでしょうか。ジャンボ尾崎や青木功がスター選手として活躍していた時、彼らは、誰かの指示や誰かが作り上げた選手だったのでしょうか? タイガー・ウッズは誰かが作ったのでしょうか? そうではないはずです。スター選手はある土壌、ある環境から登場したのではないでしょうか?

そこで、スター選手の登場を促すのに今すべきことは、ゴルファーの底辺を拡大させ、豊かな土壌からエリートプレーヤーを育成して全国規模、いや世界規模で切磋琢磨させるシステム作りをすることだと思います。スター選手はたくさんの“強い選手”の中かが生まれるものであって、スター選手だけを創ることはできないからです。小手先の改革で変わるほど甘くはありません。

では、日本の男子ツアーを統括する社団法人日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、そうした土壌作りのために何かしているのでしょうか? 全く何もしていないとは言いませんが、トーナメントの開催数が5試合も減って、24試合になってしまったことに関して、誰も責任も取らないようでは、ツアーの改革もなかなか進まないのでは? ゴルファー失格としか言いようのない“スコア改ざん”の選手に対し、5年間の出場停止と罰金200万円という処分にとどまった組織では、トーナメント数の減少くらいでは、誰も責任をとらずに済むということなのでしょうか。

来季のアジアンツアーでは、欧州や豪州ツアーとの共同開催も含め、日本のツアー数を超えるトーナメントが開催される予定です。このままでは、アメリカのPGAツアーと、アジアと豪州を巻き込んだ欧州ツアーが世界の2大ツアーとして発展し、日本ツアーは、テレビ中継を含めて存在感の薄いツアーになってしまうのではないかと心配です。

ある意味では、24試合になったことも必然では、と思います。日本のゴルフ界は総力をあげて、底辺を拡大し、ジュニアゴルファーの環境作り等を早急にしていかないと、本当に将来はないと思います。

2006年12月11日 (月)|固定リンク

先日の来年の日本の男子ツアーの日程発表がありましたが、その件は次回お話します。今日は、来季のアメリカツアーに関してお話しましょう。アメリカのPGAツアーに関心のある人は、来季ツアーの成り行きを楽しみにしているのかもしれませんね。PGAツアーは07年シーズンからツアーの仕組みを大きく変えます。野球やフットボール、バスケットボールといったメジャースポーツと同じように、レギュラー・シーズンの後にプレーオフのシリーズ戦を設け、ファンの関心を最後までもたせようというのです。

「フェデックス・カップ」という名称で行われる来季のPGAツアーは、まず1月のメルセデス選手権から8月第3週のウィンダム選手権までレギュラー・シーズンの全36試合が開催されます。各トーナメントは従来どおりに実施され、賞金も従来どおりに配分されるのですが、ツアー全体をフェデックス社がスポンサード。トーナメントごとに、順位に応じて選手にポイントを配分。そして、レギュラー・シーズンが終えたところで、累積ポイントの上位144人が、ウィンダム選手権の翌週から行われる4試合のプレーオフに進出することになります。

プレーオフではそれまでの獲得ポイントをリセット、新たにプレーオフ初戦からポイントを競い合い、その上位120人がプレーオフ第2戦へ。次の第3戦へは上位70人が進出。そして、最終戦のツアー選手権はプレーオフポイント上位30人だけが出場します。

 このフェデックス・カップの賞金総額は3500万ドル、日本円で40億円余。そして、プレーオフ4試合でのポイント1位に賞金1000万ドル(約115000万円)が贈られるのです。

 PGAツアーがこうした仕組みを採用したのは、シーズンを通じてなるべく高いテレビ視聴率を獲得する狙いからです。もともとプレーオフ制度のある他のメジャースポーツは、レギュラー・シーズンの終盤からプレーオフ、そしてファイナルへとファンの関心が高まり、高いテレビ視聴率を獲得しています。ところが、これまでのPGAツアーは8月の全米プロが終わるとシーズンは山場を越したという感じで、有力・人気選手の多くが欠場するようになります。結果、視聴率が低下し、テレビ局が得るCM収入は減ってしまいます。

 現在のメジャーなプロスポーツ組織は、放映権料によって運営が成り立っていると言って過言でありません。世界中でスポーツの放映権料が高騰し、今やスポーツ組織の存続・発展はいかに巨額の放映権料を得るかで決まっているようです。そうしたなか、タイガー・ウッズの登場により高い放映権料を設定してきたPGAツアーも、今季は長年中継を担当していたABC(ネットワークテレビ)とESPNCATV)に更新を断られるなど、行き詰まりの感がありました。そうした危機感から踏み切ったのが、今回のプレーオフ制度なのです。

 それにしてもプレーオフ4試合の総合1位選手に賞金10億円超とは……。

しかし、ポイント制度上、実力が抜きん出ているタイガーにしても、1位になるには出場2試合では厳しく、初戦と最終のツアー選手権の他にもう1試合出場しなければ、総合1位は確保できないでしょう。

 実は、そこが問題になるかもしれません。多分、タイガーも最初の1~2年は「フェデックス・カップ王座」を目指して来るのでしょう。しかし、7月以降のツアースケジュールを見ると、7月後半の全英オープンから8月の全米プロ、WGCブリヂストン招待と隔週で大きなトーナメントが開催されます。いずれも例年、タイガーが出場している大会です。その疲れが取れないまま、8月下旬からの4試合に、果たしてタイガーはどれほどのモチベーションを持って出場するでしょうか? 

たとえ、総合1位の賞金が10億円超だとしても……。金額だけでいえば、今やタイガーにはもっと楽に4週間で10億円を稼ぐ道がいくらもあるでしょう。最近設立したゴルフ場設計会社の仕事であれば、さらに巨額な仕事だって受注できるでしょう。

 つまり、せっかくこのようなファンの注目を集めるプレーオフ制度を導入しても、タイガーのモチベーションを引き出す――賞金ではない何かがなければ、タイガーの出場は確約できないのです。タイガーだけではありません。フィル・ミケルソンも、「賞金の額は関係ない。連戦は避けたいし、もっと家族といる時間を持ちたい」と言い出す可能性は大いにあります。実際、この二人、今年は出場するだけで1000万円超は得られるツアー選手権を、連戦の疲労を理由に欠場しているのですから……。

 最初の1~2年は大丈夫だと思いますが、その後、このプレーオフ制度に対し、トッププレーヤーがどのような判断をするのか。評価は、長い目でしなければならないのかも知れません。

 

2006年12月 9日 (土)|固定リンク

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