2009年8月21日 (金)

関西オープンでの出来事に関して

関西オープンでの出来事についてお話したいと思います。

今年からJJGTOのツアー競技となった、関西オープンの初日の石川遼のプレーで、大きな話題になっていることは、もうみなさんご存知のことでしょう。

10番スタートの石川遼の2ホール目。11番ホールでそれは起こったようです。

ちなみに私は、箱根で開催している、女子ツアーの“CAT レディス”の会場でその話を聞きました。

石川の11番のティショットは、左に大きく曲がり、OBの可能性があり、暫定球を石川は打ち、セカンド地点に向かったようです。

石川の組だけに、大勢のギャラリーがおり、ブッシュ近くにあったボールをギャラリーか発見したようで、「セーフ」との事。駆けつけた、競技委員も2名いたのですが、OB杭の位置の正確な確認をせずに、「セーフ」との判断をしたため、石川は、そのボールをプレーし、そのホールをボギーの5でホールアウトしました。

その後、プレーを続け、第1ラウンドを終了したようですが、その途中で、関係者などからの指摘が入り、その石川が“セーフ”と言われたボールは、OB区域であり、「セーフ」ではなかったのでは?

という問題が生じたようです。

石川も立会いの下、現場検証をした結果、たしかに石川がプレーをした地点は、OBであり、本来であれば、失格もある、重大な違反になるところでした。

しかし、今回は、関西ゴルフ連盟の競技委員及びJGTOの競技委員が、「セーフ」と間違った裁定をしたことから、誤球によるペナルティは課さず、OBによる1罰打と距離の罰(打ち直し分)の2打のペナルティを課すことで、失格処分にはならなくなりました。

この裁定に対して、多くの方々の色々な意見があるかと思います。

しかし、今回は、その大会の競技委員会が裁定をしたことですから、これはルールに則り、過去の裁定も参考にし、決めたことですから、この裁定に関しては、これでよいと思います。

しかし、私が言いたいのは、ゴルフの大原則として、ゴルファーというものは、プロであれ、アマであれ、「ルール」をきちんと理解している必要があります。

私がゴルフを覚えたての頃は、ルールブックを読み、ルールを理解してコースに出るものと教えられていました。

そして、ゴルフのルールと言うものは、プレイヤーを罰するためのものではなく、全てのプレイヤーが、公平にプレーを進めることができるためにあるものです。

例えば、池にボールが入ってしまった時の処置として、ウォーターハザードの処置のルールがあり、プレー不可能な場所にボールが行ってしまった時に、アンプレアブルやロストボールというルールがあるのです。

プレーを公平に“継続”するために、ルールがあるということは、みなさんにも理解していてもらいたいと思います。

それから、今回の件で、私は気になったのは、ギャラリーが多くてOB杭の確認が出来ずらい状態であるとか?プレー可能な区域がOBになっているとか?

私がプロデュースしているトーナメントでは、OBラインの確認や、プレー可能な場所でのOBなどは、極力なくし、“トーナメント用”にOBのラインをセットがするのが、当たり前です。

今回は、現場に行っていないのですが、私の記憶では、宝塚のこの場所は、OBの「ゾーン」になっている区域だと思います。

コースの中にOBのゾーンを設けるというのは、通常営業の中では問題ありませんが、トーナメントなどの正式な競技会を行う場合には、やはりわかりにくいエリアとなってしまうのではないでしょうか?

サントリーレディスでは、トーナメント開催時には、コース内の全てのOB杭を撤去し、トーナメントを実施しています。

もちろん、今週の大箱根CCやフジサンケイの富士桜CCはじめ、私が関係している、トーナメントのコースでは、OBの場所・ラインなど、トーナメント用のコースのセットアップは、通常営業とは違うセットアップをし、100%コースの状況を理解し、作っています。

海外のコースでは、基本的にOB杭というものはなく、プレーできなければ、アンプレアブルやロスとボールの処置をするという事が一般的です。

そういう意味からも、日本のトーナメントコースにこのようなOBゾーンがあることは、このような事態を招く要因となってしまうのではないでしょうか?

今回のこの出来事に関しては、競技委員会のセットアップのミス。現場にいた競技委員が、ボールの位置の確認をきちんとしなかったミス。

そして、本人も反省しているようですが、石川自身が、自分のボールを自分で、確認しなかったというミス。

その大きな3つが、重なり起こった出来事だと思います。

今後、日本のゴルフが世界のレベルになるためにも、このようなことは絶対にあってはならないことではないでしょうか?

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2009年5月18日 (月)

最近ちょっと思ったことなど・・・・

先日のワールドレディスの最終日。優勝した諸見里が18番ホールで自分のセカンドショット打ち終えた後、福嶋のセカンドショットがまだあるにも関わらず、グリーンに向かって歩き始めてしまい、福嶋に注意をされるという事があったようです。

新聞の報道でも、福嶋はこのことを聞かれると、「少し気になりました・・・」という発言をしていたようですし、諸見里自身も意図的ではないにせよ、セカンドショットを打とうとした福嶋の視界に入ったことは認めて、反省しているようです。

また、それより前の4月のはじめに、千葉県で開催された、千葉オープンという大会で、室田淳というプロが、自分のプレーに腹をたて、クラブを叩きつけて、そのクラブが近くのギャラリーの足に当たってしまうという事故があったようです。

由々しき事態として、千葉オープンでは、室田を「重大なマナー違反」として失格処分としたそうです。この千葉オープンは、PGAやJGTOの管轄の大会ではなかったのですが、室田はPGAの会員でもあり、JGTOのツアーメンバーでもあることから、今後、何らかの裁定があると聞いています。

プロゴルファーという人間は、アマチュアとどう違うのか?

もちろん、ゴルフの技術がアマチュアをより優れているのはもちろんですが、普通のアマチュアゴルファーというのは、ゴルフを楽しむためにプレーをすればよいわけで、好きな道具、好きなコースで自分にとって楽しめるスポーツであれば良いはずです。

しかし、プロゴルファーは、ゴルフをすることを生業としているわけで、そこに収入がある以上、義務や規範というものが、アマチュアよりも強く求められる存在です。

しかも、プロゴルファーは、アマチュアゴルファーに多大な影響を与えるわけですから、自ずと、その発言であるとか、行動であるとかは、慎重に考え行動しなければならないはずです。

プロである以上、トーナメントプロもティーチングプロもレッスンプロも同じ自覚を持つ必要があります。

トーナメントプロが、ただ良いスコアを出し、賞金を多く稼ぐことだけでは、世の中で誰も認めないと思いますし、尊敬されることもないでしょう。

全てのゴルファーの手本となり見本となってこそ、はじめて稼ぐ賞金とのバランスがとれるのではないでしょうか?

最近のジュニアゴルファーなども、ゴルフでよいスコアを出すことだけに固執しているシーンをよく見かけます。

ゴルフが上手いことが偉いという、間違った印象があるようです。

ゴルフが上手いというのは、上手いプレイヤーとして尊敬されるべき存在でなくてはなりません。

ハンデキャップが20の人でも、きちんとプレーするごとにスコアカードを提出し、自分のプレーに相応しいハンデキャップを取得するというのが、当然のことであります。

アメリカでは、プレーをした後に、インターネット経由でUSGA(全米ゴルフ協会)のハンデキャップのサイトへ行き、自分でスコアを入力し、ハンデキャップを取るという非常にリーズナブルなシステムが構築されています。

しかし、日本では、ハンデキャップを取得するのに、JGA(日本ゴルフ協会)の個人会員になるか、会員権を購入してどこかのゴルフクラブのメンバーになるか?ハンデキャップを取得するにも、いろいろなハードルがあります。

ハンデキャップを持っている人も、シングルプレイヤー(9以下のハンデ)になったら、お祝いをするなどという慣例も、いくつかのクラブではあるようです。

シングルプレイヤーになったとしても、翌月のプレーでスコアがあまり良くなく、ハンデキャップが11になり、その翌週にまた良いスコアを出しまたシングルになったら、再びお祝いをするのでしょうか?

又、人によっては、一度、ハンデキャップが少なくなったら、その後は悪いスコアカードは提出せずに、一番良いハンデキャップを維持しようとしている人も多いようです。

おかしな話だと思います。

つまり、スコアが良い人(ハンデキャップの少ない人)が偉いという風潮の一つだと思います。

プロゴルファーが、強ければいいという話と同じことではないでしょうか?

由々しき問題なのです。

それから最近少し気になることなのですが・・・

ジーン・サラゼンやA.パーマー、B.ホーガン。またJ.ニクラウスやミケルソンやT.ウッズなどのトッププレイヤーたちは、決してサングラスをしてプレーをしていません。

確かに現代の科学の力では、サングラスをすることで、グリーンのラインが良く見えたり、強い日差しから目を守ってくれるということもあるのでしょう。

しかし、プロゴルファーたちの真剣な表情、眼差し、目の輝きというものを我々が見るからこそ、そこにまた一つのゴルフというプレーの魅力、プレイヤーの魅力を感じるのではないでしょうか?

メジャートーナメントで活躍し、多くのファンを持つプレイヤーにサングラスをしたままプレーをする選手はほとんどいないと思います。

ここ数年で紫外線が多くなったとはいえ、30年前とそんなに違うことはないでしょう。

T.ウッズが、パッティングをしたりショットをした後に、ボールを追うあの強い眼差しというか、表情がゴルフファンにとっては、たまらない魅力ではないでしょうか?

こう言ったことを含め、世の中の道理とか倫理とか、大人の人間としての価値基準が少しファジーになりすぎているように思います。

もう一度、こういったことを考え直してみませんか?

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2009年4月 1日 (水)

復活!TIGER WOODS

又、最終ホールで劇的なパットを決めてタイガーが優勝しました。
凄かったですね。昨年も最終ホールでバーディ、ボールがカップの手前1メートル位からタイガーが後ろにステップを踏み始めたのも一緒でしたね。そしてガッツポーズ。
思わず”スゲー”と言ってしまった私でした。
全米オープンを91ホール戦い、その後左膝の手術のため、2008年のシーズンを休み、今年の2月、”WGC-Accenture Match play Championship”でツアーに復帰。3月の”WGC-CA Championship”で9位タイとしたものの、今季最初のメジャー大会、”MASTERS”までどうなるのか?と思っていたのですが、その”MASTERS”前の大会(Tigerにとっては次戦がMASTERS)で見事に復活優勝。復帰して3戦目ですよ。
この大会はArnold Palmer Invitationalになってから10回目ですが、10回中5回優勝している相性の良い大会とはいえ、トップと5打差の単独2位からの最終ラウンド。雷雨の影響でスタート時間が大幅に遅れる中での最終ラウンドをこの日のベストスコアタイとなる67でプレーし、見事に逆転優勝。あの精神力は誰も真似できないと思います。
アメリカPGA TOURのホームページでは・・・・
「He's done it again !」
アメリカ国内も大いに沸かしたようで、テレビの視聴率も3割アップになったとのことです。私は、彼の技術は勿論ですが、メンタル面、精神力に本当に驚いてしまいます。
スポーツアスリートがケガをした後、そのケガから回復したものの精神的な部分が立ち直らないと言うケースがよくあります。体は元に戻り、プレー自体もそれなりに良いプレーはするものの、何かメンタル的なカリスマ性が欠けてしまうと言うケースがあります。
しかし、彼は手術後のしばらくを車椅子と松葉杖で過ごしながらその後のリハビリ、そしてトレーニング、練習とケガをする前と同じモチベーションで取り組み自信を取り戻すまで真剣な努力をしてきたのでしょう。
そして復活した後も以前同様に強く素晴らしいプレーをし、結果を残す。彼の持つ底知れぬポテンシャルには本当に驚かされます。
 これ程素晴らしいアスリートを見ることができる私たちは幸せですね。
 経済の再建に邁進しているオバマ大統領にも勇気を与えたのではないでしょうか。
 

これでますます、今年の”MASTERS”が楽しみになってきましたね。

私は・・・・今週静岡で開催される女子ツアーの”ヤマハレディースオープン葛城”へ行ってきます!
昨年の優勝は山口裕子、スコアは+1と葛城の難しさがわかります。50位タイの予選通過は+11でした。
風が吹かなければもう少し良いスコアになるかもしれません。

日曜日にはテレビ朝日で喋ります。宜しく。。。。。

そうそう毎週土曜日の朝6時15分(時々時間が10分位変りますが)ラジオの文化放送で戸張 捷のサタデーモーニングゴルフという番組をもう38年!もやっています。是非聞いてくださいね。番組でエンディングにかかる曲は、私が友人と一緒に10年以上前に作詞作曲して、おまけに唄っています。明日へのフェアウェイ、というタイトルです。ちょっと恥ずかしいですけど。。。。。。。

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2009年3月25日 (水)

がんばれ!遼君!

先週、フロリダ州のタンパベイで開催されていた“Transitions Championship”。

日本でも石川遼の米ツアー挑戦第2戦として注目されていました。

結果はみなさんご存じの通り。

日本人としては、史上最年少の米ツアー予選通過という記録を作りましたが、最終結果は73人中の71位(9オーバー)となってしまいました。

2月の米ツアー初挑戦となった”Northern Trust Open”に出場の後、一時帰国し、スウィングの改造を行ったようです。

私は少し疑問があります。

夢の“Masters”初出場がもう目の前にあるこの時期に、なぜスウィングの改造をしたのかな?ということです。

勿論、より良いものへ、より高度なものへ、より確かなものへの変化は必要だと思います。

優れたプレイヤーだからこその理想の追求なのでしょう。

しかし、大袈裟な言い方をすれば“迷い”は人生の全ての場面で一番大きな悩みになります。

特に大舞台では、多少の問題点があったとしても、思いきった燃焼が必要です。

悩んでいる最中にはどうしても不完全燃焼になります。

かつて、中島常幸が絶好調のピーク時に更なる高みを目指してスウィングの改良をし、スランプに陥ったことがあります。

思うに、“天才 石川遼”が初めてぶつかった大きな壁ですね。

元に戻してMastersに向かうのか?そのまま行くのか?それぞれを吸収しながら彼自身が自分のスウィングを作るのか?

ゴルフは個人のゲーム。コースの上では誰も助けてくれません。

どんな場面でも、トラブルでも切り抜けてホールアウトするのは自分自身です。

もし、今週のArnold Palmer Invitationalで、予選を通過すればMastersへの道が見えてくるでしょう。

これほど、我々の気持ちをワクワクさせてくれるゴルファーなのですから、きっと自分で道を見つけると期待します。

父親もレッスンプロも、基本的には“サポーター・アドバイザー“です。

やらせるのではなく、ヒントを与える立場、そして消化して栄養にするのは本人。

今週テレビでどんな遼君の表情が見られるのでしょうか?

がんばれ!と応援します。

WBCの興奮がどうか続きますように。

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2009年3月 9日 (月)

国内LPGAツアー開幕戦優勝!

三塚優子は、豪快なドライバーショット、ピンの根元を狙って打つスピンの効いた男子プロ顔負けのアイアンショット、そして小気味のいい笑いをとるトーク(自らアキバ系と言ってみたり)が報道されますが、実は繊細な神経を持つ女性なのです。大胆さの裏側にナイーブさもあるのです。

沖縄で開幕した、今年の日本の女子プロゴルフツアーは、その三塚優子が8アンダーで優勝しました。

でもその勝ち方には危うさもありましたね。

2日目にノーボギーの6アンダー66でラウンドし、2位の上原彩子に2打差の単独トップで最終日を迎えた三塚優子。

最終日は久々の晴天で、気温も21℃と沖縄ならではのコンディションの中でのファイナルラウンド。

三塚は1番で幸先よくバーディースタートで9アンダーと、差を広げます。4番でもバーディーを奪い、10アンダーとし、2番でバーディーを取った上原とは3打差。

このまま逃げ切るのか?という展開でした。

しかし、昨年も1勝はあげたものの、常に優勝争いを演じながら、なかなか勝ちきれなかった精神的なプレッシャーに対する動揺が後半で出始めます。

「優勝」を意識し始めた14番・15番と連続でショートパットを外し、残り3ホールで上原とは1打差。

また負けるのか、と思ったかもしれません。

実は、彼女は今年から初めてクラブの使用契約を結びました。通常、彼女位の成績をおさめる選手は、クラブ、ボール、ウェア等の契約はどこかのメーカーと既に締結されているのが普通です。メーカー側も、良い強い選手と契約して使用してもらい、販売につなげていきたいからです。

でも彼女は家族とも相談し、自分の信念に基いて契約をしなかったのです。

自分がそれなりのプレーヤーになるまでは、自分が一番使いやすく自信を持って打てる用具を使う。

それまでは所属契約(例えば石川 遼がPanasonic所属というように)もしない。そうしなければ相手に失礼だ、と。

そして昨年の賞金ランキング7位となったところでTaylorMade社(テーラーメード)と

クラブ、バッグ、ウェア(アディダス)の契約を結んだのです。

そして最初のトーナメント。

彼女の性格から考えても、ここでお返しが出来れば、と考えるでしょう。そういう人なんですね彼女は。しかも心の中には昨年の富士通での悔しい悔しいプレーオフでの負けがある。

表彰式の後、彼女と電話で話をしたのですが・・・・

「11番・12番の連続バーディーで“優勝”を意識して、14番・15番の連続ボギーは、もう緊張で手が動きませんでした。それからは、どうやってプレーしたのか?今までの試合の中でも手が震えて動かなくなるほど緊張したのは初めての経験でした。戸張さん、後でテレビ見たらわかりますよ。震えてたから。。。。それでも勝ててよかったです。今年からクラブを変え、この大会直前まで少し不安があったのですが、色々と調整をして勝つことができました。私の話を聞いて、サポートしてくれたスタッフのためにも勝てて本当によかったです。やったー!」

と元気に話してくれました。

1984年9月21日生まれの24歳。

172cmの身長から繰り出すドライバーの飛距離は日本のツアーのトップクラスです。

2006年のステップアップツアーで初めて彼女を見た時には、荒削りながらも彼女の内に秘めた高いポテンシャルに驚いたものでした。

彼女と初めて出会ってから4年。2007年にはツアー初優勝を飾り、昨年はツアー1勝を含む、賞金ランクの7位と大活躍?(私から見るとまだまだ彼女の可能性こんなものではないと思うので敢えて?です)。LPGAの新人賞や日本プロスポーツ新人賞などを受賞し、1年ごとに成長を見せています。

普段は、思ったことを何でも口にし、明るく楽しい性格の彼女ですが、ゴルフに向かう姿勢は本物です。

今年のオフは、筋力トレーニングなども強化したようで、体が良い感じで締まったように見えました。ドライバーの飛距離もまたアップしたようです。

海外への挑戦も視野に入れており、今年の三塚優子は、今まで以上に注目です。

Congratulations

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2009年3月 3日 (火)

日本の英語発音に関して・・・・

以前から強く感じていたのですが・・・・

私は、テレビで“ゴルフキャスター”として、お話をさせていただくようになってから37年になります。良くギャグのようにされてしまうのですが、「TOUR」を「トゥアー」と発音するなどの私の英語の発音に関して、いまだに揶揄されています。

しかし本来の言葉の発音をきちんと発音することを、あたかも“きどっている”とか“生意気”と揶揄されることには、大きな疑問を感じていました。

もちろん、日本語という素晴らしい言葉は、きちんと話すべきであり、それは私も気をつけているつもりです。

しかし、“和製英語”と言うか、“日本語英語”というか?多くのそのような言葉は、きちんと英語の発音をすべきだと思っています。そうしないと子供達はそのままの発音で覚えてしまいます。それと、妙な使い方をしているケースも良くあります。

ゴルフの世界で言うと、10アンダーまでは、“テンアンダー”と言うのに、11アンダー以降は、“イレヴンアンダー”ではなく、“ジュウイチアンダー”になってしまうことなども一つの例だと思います。

テレビだけでなく、新聞や週刊誌と言った、紙のメディアでも、この辺は曖昧になっているような気がしてなりません。

東南アジアなどの新聞では、現地の言葉で書かれた新聞でも、英語でなければならない部分は、きちんと英語で表記されています。

日本の新聞なども、例えば、アメリカの大統領は、“オバマ”と書くのではなく、正式に、

“OBAMA”と書くべきではないでしょうか?(縦書きの新聞で英語表記が横になってもいいのでは?)

ゴルフの世界で言うと、選手の名前の表記の仕方もこの辺の問題が多いと思います。

例えば、今回の世界マッチプレーで優勝した、豪州の GEOFF OGILVYは、

日本のメディアでは、“ジェフ・オギルビー”と書かれています。

しかし、正確な発音を日本語表記にした場合は、“ジェフ・オグルヴィー”が正しいと思います。

青木功がアメリカで活躍し始めた頃、アメリカのテレビでは、“AOKI”を“アオキ”と発音するのでなく、“エオキ”と発音していました。横尾要は、“YOKOO”なので、“ヨクー”と言われていました。

やはり名前ですから、きちんと読んで欲しいと思います。これと同じことが日本の英語表現に多く現れているのです。

笑い話にもなっているのですが、2年前のSONY OREN HAWAIIのパーティで司会をしたとき、ゲストで来ていたミュージシャンのTUBEの紹介を「トューブ」と発音し、会場のみんなに大笑いをされてしまいました。リーダーの前田さんにも「戸張さん。チューブと言ってくださいよ。」と笑って言われたのを覚えています。

しかし、私にしてみれば、TUBEは、“トューブ”であり、“チューブ”と読みたくないのです。

“チューブ”は、“CHOOBE”と書くべきだと思ってしまうのです。

インターネットが一般的になり、世界中の情報がタイムリーに入るようになった今の時代。“グローバル化”が叫ばれて何年もがたった今の時代に、このような“日本語英語”の発音を普通に許してしまうのは、英語の発音を覚える機会を無駄にしてしまいます。勿体ないですよね。

日本の多くの子供たちが、将来、世界へ向けて旅立つときに、英語は必要条件になっているでしょう。

石川遼は、先日のアメリカでの記者会見で、

Please call me RYO !」とメディアの前で話していました。 素晴らしいことだと思います。

自分の名前をきちんと発音してもらうということを自らメディアに伝えたということは本当に素晴らしいことです。

きっと石川遼は、これからもアメリカだけでなく、世界中で活躍できることでしょう。

私の時代には、英語発音は“キザ”と言われていました。

しかし、これからの時代は、英語発音が当たり前になってくるべき時代ではないでしょうか?

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2009年2月21日 (土)

さぁ!タイガーが帰ってくる !

さぁタイガーが帰ってくる。来週アリゾナでの世界マッチプレーで8ヶ月ぶりのカムバックだ。究極の精神集中力を感じさせるあの表情と、ダイナミックな虎の吼えるシーンが見られる。彼自身が言っているように最初の試合は1ホール毎勝負になるマッチプレーが良さそうだ。世界の様々なスポーツシーンの中、でこれ程カムバックを待ち望まれたアスリートはそうそうはいない。

昨年全米オープンで91ホールを戦い、敗れたロコ・メディエートでさえ“待っていた。彼も待っていただろうけど、私もそして他の選手達も、そして何より世界中のゴルフファンが彼を待っていただろう。悪いニュースしか聞かない最近、本当に良い素晴らしいニュースだ。”とコメントを出している。

本当に楽しみである。

昨年の全米オープン。私は5日間、91ホールタイガーについてコースを歩き、ショットの度に膝の痛みに呻吟しながら己を失わず、勝負を諦めず、2度の絶体絶命の18番で2回ともバーディを取り、遂に91ホール目でメジャー14勝目を挙げる迄の全てのショットを見させて貰った。

40年間トーナメントの仕事に携わり、いくつも素晴らしいシーンを見てきたが、昨年の全米オープンはそのどれにも優る、私の記憶に一生残る忘れられないものであった。

技術とか、コースマネージメントとか、精神力とか、そういった部分的な事ではなく、人間が自分自身と闘い続けることのできる強さ、そのものを感じたのだ。

これは今世界にいる全てのトップゴルファー達の中で、圧倒的だ。

我々凡人には計り知れない努力の積み重ねがそこにはあるのだろう。

その姿を見ることで、私たちは現在の漠たる不安な気持ちをほんの少しの間でも忘れることができそうだ。

彼の闘う姿勢は我々に勇気を与えてくれる。

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石川遼 PGA TOUR 初戦を終えて

石川 遼のアメリカPGA TOURのデビュー戦は、2オーバーの99位タイで残念ながら予選落ちとなってしまいました。

日本のメディアでは、連日の報道でゴルフファンの期待は大きかったでしょう。

しかし、この結果に云々言うべきではないと私は思っていますし、3ストローク差での予選落ちはそれなりのスタートだと思います。

そもそも、全く環境の違う中に初めて行き、そこで思うように結果を残すことはとても難しいことです。

人間には順応性の高い人、そうでない人などがいます。石川 遼はとても順応性の高い人間だと思います。英語を臆せず使う度胸の良さも持ち合わせています。

それでも、時差の違い、言葉の違い、環境や習慣の違うアメリカ本土で、世界のトップレベルの選手達が揃った中でのプレーは、日本でのプロトーナメントとは訳が違います。

初日を終えた時点で、彼は自身のコメントでも“緊張したラウンドでした。自分らしいゴルフができなかった。”と言っていたように、かなりの緊張の中でプレーをしていたのでしょう。

初日スタートの1番ホールのバーディーは、無我夢中のバーディーだったのではないでしょうか?

第1ラウンドを2オーバーで終え、予選の第2ラウンドをパープレーにまとめはしましたが予選落ち。

初めての出場でこの成績は、僕は良くやったと評価します。

実は、私は予選落ちをした後の石川がどうするのかが気になっています。

そのまま現地に残り、トーナメント会場の練習場で練習をするのか?(トーナメント会場の練習場は、予選落ちの選手でも練習することが可能です。)試合を見るのか?

違うコースでラウンドをするのか?一度帰国してしまうのか?

もちろん、私としては、トーナメント会場の練習場で練習すること、そして試合を見ることを薦めたいと思います。

予選落ちの悔しさを感じつつも、整備された環境の中で、レンジボールではない試合球

を使用しての“ドライビングレンジ”でのショットの練習や速いグリーン(ポアアヌアという一種の雀のカタビラで芽のあるグリーンですが)を使ってのパッティングやアプローチの練習は、きっと大いに今後の彼に役立つことだと思います。そして最終日の選手達がどんなプレーをするのかを見て欲しい。

石川がどのような行動をとったかは?後日チャンスがあれば聞いてみたいと思います。

もうひとつ、石川について話しておきたいことがあります。

それは、周りの人間があまり気を使わずに、彼にアメリカの雰囲気を直接感じさせて欲しいということです。

それは、彼のように順応性の高い人間は、一人で英語を話し、買い物をし、レストランで注文をするということ等、日常生活をしていくことで驚くほど速いスピードでアメリカに順応していくと思います。

アメリカPGA TOURで活躍するということは、ゴルフの技術の前に、その環境にいかに生活のベースをつくれるかが大きく意味を持ちます。

言葉、環境、習慣、食事。それらを自分のものにすることで、初めて石川 遼が彼自身になり、彼らしいゴルフをすることができるのだと思います。

つまり、パック旅行などで行く海外旅行のように、決められたスケジュールの中で名所を巡るのではなく、彼自身が考え、行動することで、アメリカに順応してくるのではないでしょうか?

“石川 遼”が →“RYO ISHIKAWA”になってこそ、彼の持っている高いポテンシャルが生かされてくるはずです。

そして、我々をもっともっと”ワクワク“させてくれることでしょう。

だって私が彼のプレーが見たくって、朝ゴルフネットワークを一生懸命みていたのですから。こんな気にさせてくれたプレーヤーは久し振りです。

マスターズでは、あの美しいコースと雰囲気をまず楽しんで欲しいなぁと思っています。結果はまだいいじゃありませんか。まだまだこれからです。でもひょっとすると。。。。。。

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2009年2月12日 (木)

2009年 TIGER WOODS !

タイガー・ウッズが自身のホームページで、2月8日に長男となる第2子が生まれたことを発表しました。

昨年の全米オープン制覇以来、膝の手術でトーナメントから遠ざかっているタイガーですが、「姉となったサムともども家族で大きな喜びにつつまれています。」と幸せいっぱいのコメントを残しています。

長男は、チャーリー・アクセル・ウッズと名付けられました。

噂ではありますが、この”チャーリー“という名前は、1961年に黒人で始めてPGAのメンバーになった、チャリー・シーフォード氏にあやかって命名されたと言われています。

チャーリー・シーフォード氏は、タイガーを”Grandson“と呼び自分の孫のように可愛がり、タイガーも彼を尊敬してやまないという間でした。

トーナメントから遠ざかっていた間、ひざのけがの治療はもちろん、第2子の誕生まで、タイガーは家族と十分な時間を過ごしていたようです。

しかし、その満ち足りた家族との時間も次第に彼にとっては、色々なことを考える時間となったのでしょう。

家族との幸せな時間はたしかに素晴らしいものではあるが、それに満足していた自分が恥ずかしい。これだけではいけない。

彼はそう思ったようです。

膝の怪我によるスイングの変化やメンタル的な変化は殆んど無いと言っていますが、長男が誕生し、新たな気持ちでトーナメントに帰ってくるタイガーは、春先から全開で臨んで来るような気がします。

そして、今年もタイガーを中心に世界のゴルフトーナメントが動いていくことは間違いありません。

タイガー自身が、父親であるアールさんからゴルフの手ほどきを受けたように、もうすぐタイガーもチャーリーにゴルフの手ほどきをするのでしょう。そして彼の成長を楽しみにし、プレーするタイガーは、また新しい時代の”タイガー・ウッズ“となるのではないかと思っています。

あくまでも私の予想ではありますが、“WGC 世界マッチプレー”から復帰するのではないかと思っています。

トーナメントへの復帰のペースをつかむには、マッチプレーというホール毎に結果ゲームスタイルが良いはずです。

タイガーの復帰と今年の活躍が本当に楽しみです。

ところでそのタイガー・ウッズは、彼は自身のファンデーション(基金)を作り、学校へ行けない子供たちに教育のチャンスを与えたり、ゴルフを教えたり、その他にも彼自身がスポンサーを集めトーナメントを開催し、その収益金をチャリティするなど様々な活動を行っています。つい先月も母親のクルチダさんが故郷のタイから帰り、タイガーに、タイにはこれ程恵まれない捨てられた孤児たちや貧しい人達がいるんだよと写真を見せると、彼は母親に僕に出来ることなら何でもするよ、ママの国の役に立つならと白紙の小切手を差し出したそうです。涙を浮かべながら。。。

さて突然このような話をして申し訳ありませんが、最近の日本の政治家の方々の発言を聞くたびにこれでいいのだろうかと首をひねります。

景気対策のための給付金を我々政治家は貰う?貰わない?などの意味の無い発言を重ねるばかりで、実のある議論が皆無ではないかと思います。

国会議員の方々が率先して、“私は戴く給付金はチャリティします”とくらい言えないのでしょうか?

チャリティするという考えを発言する議員がいないのは、なぜでしょうか?

もらってどう使う?とか、貰わない?などの発言しかないのには、呆れてしまいますね。

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2009年1月 9日 (金)

2009年 ゴルフシーズン

みなさん!2009年のお正月はいかがでしたか?

早いもので、仕事も始まり、お正月気分ももう終わりですね。

アメリカの男子ツアーは、ハワイのマウイ島で開幕しました。

”Mercedes-Benz Championship”です。世界ランク上位や昨年の優勝者のみが出場できる大会で、今年は、33名が出場しています。

日本国内は、まだまだ寒く、なかなかゴルフという気分ではないのでは?

でも、今年は、タイで開催される、"The Royal Trophy"というアジア選抜と欧州選抜の対抗戦に、石川遼が出場することで、連日、テレビでも報道されていて、少し、ゴルフ気分が盛り上がる感じではないでしょうか?

この"Tha Royal Trophy"という大会は、2006年に第1回大会が開催され、今年で3回目になります。(昨年は、タイ王国の喪中で開催中止)

伝統的な、アメリカツアーと欧州ツアーの対抗戦のライダーカップのアジア版と言っていいでしょう。

開催地は、タイのバンコク郊外にある、アマタ・スプリングスというコースです。

バンコク市内から車で1時間ほどのコースで、プライベートの比較的に新しいコースです。

大きなラグーンの中にグリーンが浮かんでいる”フローターグリーン”があるパー3が名物のコースです。

実は、私も何度かプレーしていますが、コースメンテナンスなど非常に良かった印象があります。

日本からは、谷口徹・谷原秀人・石川遼が出場。又、尾崎直道がアジアチームのキャプテンを務めているようです。

石川遼がプロとして初めての海外トーナメント。どんな成績を残してくれるか?楽しみですね。

一方の欧州チームは、過去2連覇。もちろん今年も精鋭が揃い、素晴らしいプレーを見せてくれるでしょう。

欧州チームのキャプテンは、スペインのオラサバル。マズターズを2度制覇している名プレイヤーです。

実は、同じスペインの先輩である、セベ・バレステロスが昨年の10月に脳腫瘍で倒れたのは、ご存知でしょう。

その後、2ヶ月の入院を経て、今は自宅療養中との事。そのセベから欧州チームにメッセージが届き、欧州チームは気持ちも新たに、この大会に臨んでいるようです。

1月初旬。世界の中でゴルフははじまっています。

2009年。今年はどんな素晴らしいドラマが生まれるのでしょうか?

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2008年11月 2日 (日)

石川遼 ツアー優勝!

樋口久子 IDC大塚家具レディースの会場で、素晴らしいニュースを聞きました。

今週関西で行われていた、男子ツアー”ABCチャンピオンシップ”で、石川遼が、逆転で、プロ転向後のツアー競技初優勝を飾りました。

昨日の第3ラウンドを終わった時点で、深堀が9アンダーでトップ。石川は3打差でした。

そのとき、私は”石川が勝つのでは?”と思っていました。

深堀は、もちろん負けるつもりは無かったでしょうが、昨日のコメントで、「もちろん、受けて立ちます。でも僕より上位に行くことがあったとしたら、褒めてあげます!」と言っていました。

また、色々な流れが、石川の勝利へ流れていたように感じました。

昨年のフジサンケイにまだアマチュアで出場した際や今年のフジサンケイをはじめとした、色々なトーナメントで彼を見ていて、素晴らしい彼のポテンシャルには驚いていました。

あのスピードのあるスイングや誰もが彼を好きになるという好感度は、彼のポテンシャルの高さを示していると感じました。

ジャンボや青木功、中島常幸と言った、日本人選手のスター選手にもないような、ポテンシャルの高さを感じていました。

したがって、彼の優勝に大きく驚くことはなかったのですが・・・・・

日本の選手の中で、マスターズをはじめとした、世界のメジャーの舞台で上位に行くポテンシャルを持った唯一の選手だと思います。

周りの騒ぎに惑わされることなく、大きく育っていくスケールを持った石川遼のこれからのプレーに期待したいと思います。

石川遼プロ おめでとう!

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2007年8月26日 (日)

まもなく、石川遼くんのツアー2戦目が始まります!

同じプロゴルフ・トーナメントと言っても、男子と女子ではファンの見方、ファンが求める魅力は異なるようです。

女子のトーナメント会場に足を運ぶファンには、競技(=優勝争い)そのものよりも、どちらかというとエンターテイメント性を期待する人が多いのではないでしょうか?

ルックスやファッション、あるいは、若いホープのハツラツとしたプレー。もちろん、そうしたプレイヤーがいいプレーをして、優勝争いに加われば、これ以上ない喜びとなります。

ゴルフに限らず、卓球、バドミントン、ビーチバレー等々、最近観客を増やした女子の競技はすべからくそうした要素が加わったからでしょう。

一方、男子のトーナメントを観戦するファンの多くは、エンターテイメント性というよりも、やはり競技、アスレティックな魅力を堪能したくて来場するのではないでしょうか。

強いプレイヤーたちによる白熱した優勝争い以上に、ギャラリーを喜ばせることはないのでは・・・・。

そして、一般アマチュアが憧れるヘッドスピードの速さとか、途方もない飛距離、アイアンの切れ、スピンが効いてグリーン上でややバックスピンして止まるボール、まっすぐカップに向うアプローチ・・・・・。

そうした、ダイナミックなプレーが、男子トーナメントの何よりの魅力なのです。

昨今、男子ツアーの人気が低迷しているのは、この点でファンに足を運ばせるような、いつもいつも魅力的なプレーを見せてくれる選手がいなくなったからに他なりません。

そこに今年登場したのが、「石川遼くん」でした。

彼の魅力は、ルックスだったり、発言の内容だったり、いろいろあるのでしょう。

しかし、何と言ってもプロのトーナメントに初めて出場した試合でいきなり優勝してしまうという、とてつもない実績が一番の魅力です。

しかも、そのプレーが300ヤードに迫るロングドライブなど、計り知れない才能、将来性を感じさせるものでした。だから、同世代のジュニア達は憧れ、年配の世代にも、機会があれば是非間近に見てみたいと思わせたのです。

その石川君が、今週の”第35回 フジサンケイクラシック”に出場します。

ツアー2戦目で、果たしてどのようなプレーを、あるいはどんな優れた才能を見せてくれることでしょうか。

トーナメントプロデューサーとしては、彼目当てに来場される大勢のギャラリーや報道陣に対する対応など、対処すべき問題は多くありますが、そうした悩み以上の楽しみがあります。

石川君は、競技に出るたびに、一挙手一投足に加え、一言一句もメディアに報じられる大変な立場です。

それでも頼もしいのは、彼はそうした状況を苦とする風もなく、逆に楽しんでいるかのようなことです。

実際これまでも、大ギャラリーにプレッシャーを感じるどころか、「僕を見に来てくれて人に喜んでもらえるよう、バーディをたくさん取りにいきます。」といった発言を笑顔で発しています。

なかには、「メディアから守ってあげるべき」とか、「しばらくは、そっとしてあげるべき」といった声も聞かれますが、(以前にもここで書きましたが)私は何も気にしなくていいと思っています。

例えば、タイガー・ウッズがそうだったように。例えば、宮里藍がそうだったように。

いずれスターになるプレイヤーは、周囲がいかに騒ごうが、干渉しようとしようが、逆に保護しようと考えようが、ほとんど影響されることはない。周囲の騒ぎに関係なく、自分が今すべきことに集中できる人間であり、夢を着実に実現していく人間なのです。

我々は、喧騒の中を力強く成長していく (もちろん、時には挫折も味わうことでしょうが・・・)石川君の姿を率直に楽しんでいればいいのでしょう。

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2007年8月13日 (月)

フェデックスカップ プレーオフを前に

先週、米ツアーではメジャー最終戦、全米プロが開催されました。

その前週のブリヂストン・インビテーショナルで、長女サム・アレクシスちゃん誕生後、初めての優勝、初めてのタイトルに輝いたタイガー・ウッズが「案の定」と言うべきなのでしょう。

全米プロでは、2日目に猛チャージをかけ、あっさりトップに立つと、そのままの勢いで独走。

メジャー通算13勝目。全米プロ4勝目を上げました。

そのタイガーと全英オープンの期間中にわずかな時間でしたが、インタビューをすることができました。

今年の全英オープンでは、2日目のスタートホールでティショットをいきなり引っ掛け、ホール左に走るクリーク(OB)に落とすというミスをしています。

これまでにタイガーには、「予選ラウンドのスタートホールは慎重にプレーする。」というイメージがあったので、そのことを指摘すると、「確かに反省点なので、これから練習しようと思っている。」との答え。

本人にしても、意外な、ありうるべかざるミスだったようです。

そのインタビューでとても印象に残っていることがあります。それは最後に、

「ところで、今回、赤ちゃんの写真は持って来なかったの?」と尋ねたときの彼の表情でした。タイガーはニコーッと、これまでに見たこともないような満面の笑顔になって、

「いや、持ってきてないんだ。だって、サム・アレクシスの写真を見た途端、寂しくなって、家に帰りたくなるからね。」と言ったのでした。

それは、すっかり父親の笑顔でした。

世界最強のタイガーも、娘 サム・アレクシスちゃんの前では、世界中どこにでもいる父親の一人なのでしょう。

ところで、米ツアーは、次戦のウィンダム選手権を最後に、今シーズンから新たに始まったフェデックスカップのレギュラーシーズンをを終えます。

そして、そのポイント上位144選手が、来週から始まる全4試合のプレーオフに進出。

以降は、試合毎に獲得ポイント数によって出場選手が絞られ、最終戦の”ツアーチャンピオンシップ”には、上位30人のみよって争われます。

その上で、最終的にフェデックスポイントを一番獲得したプレイヤーには、なんと1000万ドル!日本円にして、12億円弱もの破格の賞金が授与されるのです。

シーズンを通してのポイント制、プレーオフ制度、そして巨額な賞金・・・・。

シーズン前から開幕直後にかけては、何かかと話題になることが多かったこのフェデックスカップですが、全米オープン~全英オープンとメジャーの現場に行くと、そこではほとんど話題になっていませんでした。

もちろん、同制度の山場はこれから始まるプレーオフでしょうから、本格的な話題になるのもこれからかもしれません。

それでも、メジャータイトルに挑むプレイヤーたちの熱気・緊張感に触れると、やはりゴルフのように長い歴史があって、世界中でプレーされる競技においては、「名誉」以上に選手の”モチベーション”になるものはない、と改めて思い知らされます。

いくら12億円でも、メジャータイトルに勝る”モチベーション”にはならないのです。

フェデックスカップ、つまりPGAツアーが今後このカップに付与すべきは。「名誉」なのでしょう。

それには、同制度に信念を持ち続け、あとは歴史を積み重ねて行くしかないのでしょう。

そうすれば、いずれプレーオフの中で、ゴルフファンなら誰もが口にするような”ドラマ”が生まれ、そこから同カップに対する価値観が変わっていくことも・・・・。

フェデックスカップの成否。その答えが出るのは、まだまだ先なのでしょう。

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2007年6月25日 (月)

全米オープンを終えて一言!

第107回の全米オープンが幕を閉じました。

会場のオークモントCCは、1903年、100年以上も前にピッツバーグ郊外に造られたゴルフ場です。

H.C.Fownes。“鉄”で財をなしたビジネスマンがゴルフに恋をし、「もっとゴルファーに厳しいゴルフ場を造ろう。ミスショットにはそれなりの罰が与えられなければならない。」というコンセプトでこのゴルフ場が生まれたのです。

アルゲニー川沿いの丘陵に、英国のリンクスのようなコースをレイアウトし、しかも高低差が20メートル以上もあるのです。

当初、350個あったバンカーの数は、一時、180個までに減ったが今年の全米オープンのために210個に増やしています。 また、このオープンのために5,000本以上の木を伐採し、オリジナルのデザインに近づけるとともに、運営上のスペースを確保したのです。

全米アマに出場できるくらいのゴルファーだったFownesだが、100年以上も前に、現代に通用するコースを設計したのだから、その先見の明というか、センスには敬意を表するしかありません。

タイガーをして、「オープンのコースで一番難しい。だが、公平である。」と言わしめる。それがこのオークモントCCの全米オープンなのです。

さて、過去41回のメジャーに出場、そして、何と12勝を挙げているタイガーであるが、最終日に逆転で優勝したケースはありません。

そして、今年もその“ジンクス”を破ることができなかったのです。

優勝したのは、アルゼンチンの37歳。A.カブレラ。最終日の今日は、1アンダーでプレーし、トータル、5オーバーでフィニッシュ。後続のプレーを待つ展開でした。

タイガーの18番のバーディパットが惜しくもカップの横を抜けた瞬間、アルゼンチンに初めての、全米オープンのチャンピオンが誕生したのです。

アルゼンチンのゴルフ場でキャディをしながらプロになり、1990年にプロ転向。欧州ツアーを中心に活躍し、3勝を挙げていますが、メジャーのタイトルはもちろんはじめてです。

練習日から毎日、40,000人以上のギャラリーがこのオークモントCCに来場していました。

このハードなコースの中で、世界のトッププレイヤーたちの素晴らしいプレーが繰り広げられていました。(とても苦労していたようですが・・・・・)

今年の全米オープンもやはり、感動的なエンディングが待っていたのではないでしょうか?

来年は、カリフォルニア州のサンディエゴにある、パブリックのゴルフ場。Torrey Pines GC が舞台となります。

さて、今週は”第62回 全米女子オープンゴルフ選手権”が開催されます。

私も明日から会場に入る予定です。

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2007年6月13日 (水)

関東アマを終えて思うこと

日々の報道で、みなさんもご存知のことと思いますが、今年の関東アマは“ハニカミ王子・石川遼”で大変な状況になっていました。

例年は、関係者と出場選手の家族、友人くらいしか観戦していない競技ですが、アマチュアの競技会としては、関東ゴルフ連盟主催の公式競技会です。上位の29名が来月の日本アマチュアゴルフ選手権に出場する権利を獲得することが出来ます。

さて石川君の結果は、ご存知の通り、9オーバーの8位で、日本アマへの出場権を獲得、これはそれなりに立派な成績だと思います。

さて彼に関しての報道について考えてみたいと思います。
1. スポーツと芸能の区別をつけて欲しいのです。
2. 常識をベースに取材をすべきではないのかと思います。

例えば同伴競技者にマイクを仕込んで、声を録音しようとした事や、競技中にヘリコプターを低空飛行させるなど、ゴルファーの立場から考えると非常識にもほどがあるのです。

又、今回の競技会を主催していた、関東ゴルフ連盟のマスコミに対する対応の甘さも、このような問題を起こしたのではないでしょうか?

関東ゴルフ連盟としては、少しでもゴルフの啓蒙になるのであれば、という事で取材を許可し、取材のルールを配布していたようですが、運動記者クラブ及び記者クラブのゴルフ分科会、ゴルフジャーナリスト協会などのゴルフ専門の人間だけに取材を許可し、その他のメディアには、コース内の取材などを許さず、共同会見のみにするなどの「規制」をすることもできたのではないか?もちろん、ここまでの騒ぎは予想していなかったのでしょうが、ゴルフ連盟なのですから主催者としての確固たる姿勢がもう少し見えて欲しかったと思います。

毎日のように、テレビや新聞、そして雑誌等で大きく扱われることは、ゴルフ界にとってとても良いことだと思います。しかし、ゴルフの本質とは逸脱している報道も多く見られました。
この競技会の意味であるとか?順位であるとか?

同じ高校の薗田選手が第1位だったことで、最終日には一緒に共同会見をしていたようですが、薗田選手の報道を全くしないメディアも見られました。
薗田くんも高校3年生で、関東アマを制したのは、とても素晴らしいことです!(それもただ一人のアンダーパー。3アンダーでの1位です。)

アマチュアの競技会とプロのゴルフトーナメントでは、その開催の意味や意義が全く違います。
プロのトーナメントは、主催社のPR活動の一環であったり、テレビ番組のコンテンツとしての意味が大きくあります。

そのために、良い取材をしてもらい、少しでも多くの記事やニュースにしてもらう必要があるのです。また、ギャラリーの方に一人でも多く来場していただき、トーナメントを観戦してもらう意味と必要があるのです。

確かに、今の男子ツアーには、石川遼選手以上に魅力のある選手がいないのも事実なのですが、プロのゴルフトーナメントとは、そういう意味で開催をしているのです。
ただ、優秀なアマチュァ達により経験を積むチャンスを与える為に数名ずつ出場資格を与えるトーナメントも多くなっています。

しかし、アマチュアの競技会は、純粋な「競技会」であるはずなのです。
過剰な新聞報道、テレビ番組での興味本位の取り上げ方、そういうものが必要なのか?どうか?もう一度、考えるべきではないでしょうか?

日本アマでは、今回の関東アマ以上の大騒ぎが予想されます。
日本アマチュアゴルフ選手権は、文字通り、日本一のアマチュアを決める歴史と伝統のある大会です

過去のチャンピオンの名前をみれば、いろいろな事が偲ばれます。
日本のゴルフの歴史が刻まれているのです。

もし中部銀次郎さんがご存命でしたら、石川君についてどんなことを思うか伺ってみたいものです。 きっと苦笑いしながらも、「いやぁ大したもんだね。でもゴルフが分かってくるのはこれからだよ。 でも勝ったことは本当に見事だね。」とでも仰るのでしょうか・・・・・。

いずれにしても日本のゴルフ界の指針を示していく義務のある日本ゴルフ協会が主催する大会です。主催者の厳正なる、競技会運営を期待したいと思います。

私は、石川選手がマンシングで優勝した直後のこのブログで、「彼のこれからの成長を見守る余裕をもって対応していって欲しいと思います。」ということをお伝えしたと思います。
その言葉を、今一度、多くの方々にお伝えしたいと思います。

ヒーロー探しが一つの仕事になっている日本のスポーツ界、石川選手は、まだ高校1年生です、これから先に長い道のりがあるはずです。

周囲の騒ぎを楽しむかのように、平静を保ち、プレーし、インタビューに答える彼の姿は大したものです。

最後に、
過去世界のスポーツ界でどれほど優秀な若い選手たちが、本人の、家族を含めて周囲の勘違い、そしてその時に売れればいいメディア、契約をしたい業界の騒ぎの中でいなくなっていったことでしょう。

浅田真央が15歳だったからオリンピックに出られなかった意味を、もう一度思い出してしまいました。

ただ、本物のヒーローはそんな事の全てを弾き飛ばし、笑い飛ばし、痛快に階段を駆け上って行くでしょう。

願わくば石川 遼君にその星が備わっていますように・・・・・。

どきどきしながら、そうなって欲しいと心から願いながら見守っています。

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2007年5月31日 (木)

不動裕理 優勝おめでとう!

 不動裕理の1年1か月ぶりの優勝は、彼女にとってだけではなく、ツアー全体にとっても大変に意味のある、大きな1勝だと思います。

 もともと「1年1か月ぶりの優勝」で騒ぎになるのは、不動だからこそ。他のプレイヤーなら、「立派なものだ」ということになります。

 どんなトッププレイヤーでも、1年ちょっと勝利から遠ざかることは、よくあること。タイガー・ウッズにしても04年2月から翌05年1月まで、1年弱、米ツアーの優勝から遠ざかり、メディアから「深刻なスランプ」と騒がれたことがありました。その後の復活は、ご存じの通りです。

 しかも不動の場合は、それまで6年連続で賞金女王のタイトルを保持し続けたのです。毎週毎週トーナメントが開催されるツアーで、6年間もトップで居続けるということは、精神的にも、肉体的にも、どれほどの負担があったことか。余人には想像もできないタフな状況だったのでしょう。

 そして彼女は、その間にツアープレイヤーとして目標となることは、ほとんど手に入れてしまいました。すべての国内のメジャータイトル、永久シード・・・・・。新しい目標を設定しづらいなか、戦いのモチベーションを保ち続けることは至難のワザです。いわゆる、精神面の”エネルギー切れ”になったのではと、思われました。

 その状態から再度、優勝争いのポジションに復帰するには、まずメンタル面の建て直しから始めなければなりません。

 おそらく彼女は心から「勝ちたい」という意欲が湧き上がるのを待ち、そこからゴルフを作り直していったのではと推測します。

 ただし、以前のゴルフに戻すのではなく、よりレベルアップしたゴルフを目指したはず。

 その為にはいろいろな試行錯誤があったでしょう。

 クラブ契約をフリーにしたのもその一つ。

 自分が納得できるクラブを選べる環境にしたのでしょう。すべては、一段ヴァージョンアップしたゴルフを手に入れるためです。

 昨年の秋以降、彼女のゴルフは「60台半ばの素晴らしいスコアを出したと思ったら、翌日には70台半ばと崩れる」といったように、安定感に欠けていました。スコアの波が大きかったのです。新しいゴルフがピタッとはまれば爆発的なスコアが出る一方、まだ本当に自分のモノになっていないので、ちょっとバランスが崩れるとスコアも大きく崩れる状態です。そんな--以前の不動と比べると、まったく不動らしくない--ゴルフをしていたのは、試行錯誤の段階にあったから。そう考えると、この1年余という時間は、彼女がメンタル面を建て直し、試行錯誤しながらレベルアップしたゴルフを獲得するために、どうしても必要な時間だったのでしょう。

 優勝した廣済堂レディスでは、不動の顔には勝利に対する意欲を見て取ることができました。そして、うれしかったのは、終盤のホールで--2位以下に5打差をつけ、安全圏にあったにもかかわらず--安全なグリーン中央を狙うのではなく、ピンからグリーンエッジまでの距離の短い方を躊躇なく、果敢に攻めていたことです。そのために最終18番ホールでは、第2打を右サイドのサブグリーン奥にまで外してしまいましたが……。でも、あの攻めの姿勢を見て「昔の不動が戻ってきた」とうれしくなったのは、私だけではなかったはず。

 不動の復活は、ツアーに様々な好影響、好作用をもたらすことでしょう。

 廣済堂レディスでは、最終日同組でラウンドした横峯さくらと阿蘇紀子に、「やっぱり不動さんはすごい、さすが」といわしめていましたが、それは不動のショットだけではなく、プレーの内容にも感心したからのようです。

 不動のゴルフは他のプレイヤーの刺激にもなり、そこから学べることがいっぱいあるのです。それはコース上でも、またコースを離れても・・・・。

 また、ファンにとっても、ツアーに確固たる実力者が戻ったことで、トーナメント観戦がより面白くなったはず。大相撲の横綱と同じで、ゴルフトーナメントにも柱となるプレイヤーがいた方が、ゲーム展開は締まるのです。

 ますます今後の試合の展開が楽しみになってきました。

 そして、不動はまだやっと30歳。当分はツアーを引っ張ってくれることでしょう。

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2007年4月 8日 (日)

スポーツには”ワクワク感”が大事!

今年の桜は長持ちしていますね。ゴルフには本当に素晴らしい季節になってきました。私はもうすぐ(4月20日から)はじまる「フジサンケイレディスクラシック(伊東市・川奈ホテルGC)」の最後の追い込みです。

ところで、アメリカの今季、メジャー初戦のマスターズは、今年は例年と少し違う感じがしますね? スコアも伸びてないですし・・・。でも、タイガー・ウッズが3日目を終わって1打差まで上がってきたのは”さすが!”ですね。

さてこの1~2週間、スポーツニュースが取り上げる話題は松坂大輔を始めとする、大リーグでプレーする日本人選手に席巻された感があります。お陰で今年は、マスターズのニュースもちょっと陰が薄いようです。松坂のメジャーデビュー戦での快刀乱麻の活躍ぶりにすっかり抑え込まれてしまいました。それにしても、日本人メジャーリーガーに対するファンやメディアの昂奮ぶりを見て改めて思ったのは、スポーツにとって“ワクワク感”がいかに大事かということです。もちろん“ワクワク感”は人それぞれ、一概に規定できることではありません。ただし、どの競技もグローバル化が進み、誰もが世界最高峰のフィールドの存在を知った今、やはりその世界一のフィールドでトップになることを目標に、そこに向かって一歩一歩力をつけている選手に、多くの人が“ワクワク感”を抱くのではないでしょうか。一方、そうした動きに対し、「国内フィールドが脆弱になり、魅力がなくなる」と、将来を不安視する声があります。果たして、そうでしょうか? 確かに、松坂投手が抜けた穴は小さくありません。しかしそれで、日本球界の力がレベルダウンするかといえば、そうしたことはなく、逆に松坂が大リーグで輝くことで、「次は俺も」と、多くの選手の刺激になるはずです。松坂の大リーグ転進が、国内の若手投手の励みとなり、より高いレベルでの切磋琢磨を促すことでしょう。そんなふうにもたらされたエネルギーの方が、彼が抜けた穴よりはるかに大きいのではないでしょうか。また、ファンにしても、「次は誰がメジャーに挑戦するのだろう」と将来に夢や期待をつなぐはずです。

野球の日本代表監督になった星野仙一氏は、以前にある雑誌でこんな発言をしています。「(日本の選手がメジャーリーグへ流出する現状に対し)FAという権利を使って行くのだから、いいじゃないか。第2のイチロー、第2の松井秀喜を育てるのが我々の仕事なんだから。(球団の監督としては)メジャーからオファーが来るくらいの選手を、何人育てられるかが楽しみなんだ」。巣立った人材の穴を嘆くのではなく、その穴を利用して新たな人材を育てることに目を向けているのです。前日本代表監督の王貞治氏も、自分のチームから井口資仁、城島賢司という主力を大リーグに快く送り出しています。それでソフトバンク・ホークスの人気が落ちたかというと、そんなことはありません。

そこで国内男子ツアーの人気の低迷ですが、その原因は、もちろん丸山茂樹が抜けたからではなく、丸山に続く、米ツアーで活躍する選手を送り出せなかったことにあったと思います。一方、女子ツアーですが、確かに昨年は宮里藍の米ツアー転身で、TV視聴率もギャラリー数も少しダウンしました。それでも、宮里が登場する以前に戻ったわけではありません。女子ツアーに寄せるファンの注目度は相変わらずです。そこには、次々と新しい“ワクワク感”がもたらされているからです。宮里がもたらしてくれたほどは大きくはありませんが、確かな“ワクワク感”があるのです。例えば、来季米ツアーに本格参戦する大山志保に、あるいは横峯さくらに、さらにその下の上田桃子や有村智恵といった選手たちに……。

そして、(前述の星野監督の言葉ではありませんが)そうした世界のフィールドに飛び出そうとするプレーヤーたちの成長を助成してあげるのも、国内ツアーの務めなのではないでしょうか。

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2007年3月16日 (金)

開幕戦のテレビ中継について

先週の毎日新聞の連載でも触れた話ですが、テレビのトーナメント中継に携わる立場としてとても重要な視点だと思うので、改めて書くことにします。

まずは、その毎日新聞に書いた該当部分を転載します。

『ところで、先週の開幕戦のTV中継は、前半は宮里を中心に、ときどき優勝を争う上位3~4選手のプレーを紹介。後半は、最終的にプレーオフに進んだ米山みどりと辻村明須香のプレーに終始する構成だった。

だが、優勝の期待がかかる最終組には、一昨年まで6年連続賞金女王で、今季の復活が注目される不動裕理がいた。久々に上位でプレーする彼女がいったいどのようなゴルフを見せるのか。多くのゴルフファンが気にしていた。にもかかわらず、気になる彼女の途中経過を知るには、開始から20分ほども待たなければならなかった。民放であるから、視聴率重視の構成は当然である。それでも、中継するTV局には、根底にトーナメント振興、ゴルフ振興の思いがなくては中継をあずかる資格はないと思う。たとえ、宮里中心の構成で高視聴率が得られたとしても、ゴルフやトーナメントに内在する面白さ、ドラマ性を伝えることを忘れた中継は、長い目で見ればゴルフ振興のマイナスになろう。そして、そうなったとき誰より悲しむのは、宮里のはずだ。同じトーナメント中継に携わる身として、今回の放送は「他山の石」としたい。』

 結局、この日の放送では最終ラウンドでスコアを大きく崩した不動についてはほとんど触れられることがありませんでした。ゴルフファンの多くは、彼女がいったいどういった内容のゴルフをプレーし、どこが原因でスコアを乱したのか、詳しく知りたいと思われたことでしょう。

 ファンに限らず、不満を持たれた人は多く、他のメディアからも苦情の声が聞かれました。

 米ツアーのテレビ中継は、(メジャー大会などを除き)トーナメントのスポンサーと契約するのではなく、PGAツアーやLPGAツアーとの契約で中継権を獲得します。そのため、テレビ局はツアー全体の魅力や見どころを伝えようとします。つまり、タイガー・ウッズがプレーするトーナメントであっても、成績が振るわなければ、それなりの紹介しかしないということ。

ところが、日本ツアーの場合、テレビ局は各大会の主催スポンサーとの契約(というか、主催スポンサーの提供)で中継を担当します。そのため、ツアー全体の魅力や見どころを見据えるのではなく、その大会に焦点を絞りがちになります。つまり、近視眼的にその大会の視聴率を追求するのです。ですから、宮里藍が出場すれば、彼女中心の構成に。タイガー・ウッズが出場すれば、タイガーの映像に終始した構成になってしますのです。

 確かに、そのほうが視聴率は取れるのかも知れません。

しかし、中継のメディアが本来担うべき役割は、まず競技、つまり優勝争いの内容を詳しく正確に伝えること。そして、ゴルフやトーナメントが元来有する面白さ、ドラマを掬い上げて紹介すること。人気選手の紹介はそのあとにくる構成要素であって、それをメインテーマにしては、最終的にツアー振興、ゴルフ振興の足を引っ張る結果になると思います。

 プロ野球の有識者の間では、イチローや松井秀喜が大リーグに移籍してからのスポーツニュースは、彼ら個人の活躍を伝えるだけでチーム成績や、リーグ全体の面白さをきちんと伝えない内容に疑問の声が上がっています。大リーグ野球の素晴らしさがきちんと伝わらなければ、そこでプレーするイチローや松井の素晴らしさも正しく伝わらないからです。

 宮里藍が出場するトーナメント中継は、常に彼女中心の構成になるというのでは、彼女に与えるプレッシャー、いやストレスは相当なものでしょう。もちろん、それは彼女が望むトーナメント中継のあり方ではないはず。そして、本当のゴルフファンも望んでいることではないと思うのですが、いかがでしょうか?

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2007年3月 8日 (木)

クラブに関する新たな規制に関して

 関係者の間では少し前から話題になっていましたが、先月末、R&Aと全米ゴルフ協会(USGA)はクラブフェースの溝の構造について、新たな規制を加える準備を進めると発表しました。クラブフェースの溝の断面は、かつてはV字型でしたが、現在は溝のエッジがより鋭角なU字型になっており、そのためにより大きなスピン量が得られる構造になったとされています。これを、今後、メーカーの意見を聞きながら、溝の断面積を小さくする、あるいはエッジの角度を緩やかにするなどの規制を導入、来年のルール改訂に盛り込む方針というのです(ただし、実施にメーカーの製造が規制されるのは2010年からを予定)。

 R&Aはこの決定に関して、ニュースリリースの冒頭に次のように文面を載せています。

「R&Aは、ドライビング・アキュラシー(日本ツアー式に言えば、ティショットでフェアウェイをキープすること)の重要性を伝統的なものに戻すため、クラブフェースの溝がラフからショットのスピン量にどれほどの効果を及ぼすかを調査、その結果に基づき、ルールの変更を提案することになりました。

  かつてのフェアウェイキープが重視されていた時代に比べると、現在のクラブフェースの溝の構造は、ラフからでも著しく大きなスピン量が得られるようになっています」

これは、つまりこういうことです。「現在のクラブフェースの溝の構造は、以前に比べて、ラフからでも大きなスピン量が得られる構造になっている。そのため、ラフからでもグリーンをとらえられるので、プレーヤーはフェアウェイキープにかつてほど苦慮せず、ロングドライブを目指すゴルフになった」と指摘しているのです。

そこで、R&Aのルール及び用具委員会のディレクターであるデイビッド・リックマン氏は、「R&Aは、今回の決定を行うために長い時間をかけて調査・研究を行った。その一環として、上級者にラフから――特にウレタンカバーの――ボールを打ってもらったときに、どのような溝の構造がより大きなスピン量を得るのか、明らかな立証が得られるまで調査した」と前提で断ったうえで、「その結果、R&Aとしては、ラフから打った場合のスピン量を制限することにより、結果的にフェアウェイキープの重要性を取り戻し、あわせてラフからのリカバリーショットもより難しくなることを望んでいる。これは、ゴルフ本来の(飛距離とスキルの)バランスを再確立するためであり、ゴルフにとって重要なスキルの価値を維持するための方策である」と述べています。

 また、USGAが今年1月に発表したレポートには、「実験の結果、アマチュアの場合、グリーンまで100~200ヤードの距離のラフからのショットが、グリーンに止まる確率はわずか13.1%」とある一方で、「PGAツアーでは、フェアウェイ以外からのショットがグリーンをとらえる確率は49%」であることが示されています。さらに、ある調査によれば、トッププロがフェアウェイ以外から打ってパーオンさせる確率は66%前後もあるということです。つまり、プロはフェアウェイをキープできなくても、全体では半分のプレーヤーが、トッププロでは3分の2が、パーオンさせてしまうのです。

 これでは、ラフが本来果たすべき(ハザードに近い)役割を果たし切れないということであり、ならばプロたちは方向性(ドライビング・アキュラシー)を多少無視しても、飛距離を稼ごうとするのは当然でしょう。

 こうしたプロのゴルフのあり方に、かねてからR&AとUSGAは危機感を抱き、加えられる規制は積極的に導入していこうとしています。ドライバーのシャフトの長さとヘッド容積に対する規制から始まり、スプリング効果、慣性モーメント、そして今回のフェースの溝の構造。さらには、ボールに対する新たな規制も噂されています。実際、両団体はボールの飛距離を抑制する新たな規制の可能性を研究しているはずです。

しかし「より遠くに飛ばしたい」という思いは、いつの時代でも、ゴルファーの本能です。その可能性に“伸びしろ”のまったくない規制には反対ですが、現在のプロゴルファーの飛距離とトーナメントコースのせめぎ合いを見る限り、もはやある程度の制限は仕方ないのかもしれません。

先日、ジャック・ニクラウスは「1995年以降、用具の改良により、ゴルフはもはや私が育ってきたゴルフではなくなった。それは、善い・悪いの問題ではなく、まったく違うものになったということだ。しかし、私はドライバーとウェッジで競われるゲームには、誰もが飽きはじめたと考えている」として、用具の進化に警鐘を鳴らしています。

用具の規制は、今後、どのように展開するのでしょうか。気になるところです。

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2007年2月21日 (水)

ミケルソンらしい負けっぷり。

米ツアーの賞金レースは、先週のニッサンオープンを終えた時点で、1位のチャールズ・ハウエルⅢが、はや201万ドル余、日本円にして2億4000万円ほども獲得する、ものすごい勢いです。この調子でシーズンを終えたら、いったいいくら稼ぐのでしょうか。ご存じのように、今季のPGAツアーはフェデックスカップという、シーズン終了後の破格のボーナス賞金システムもありますから、最終的な獲得賞金額は予想もつかない額になるかも知れません。

 それにしても、チャールズ・ハウエルですが、01年のルーキー・イヤーからずっと“ポスト・タイガー”の一番手と期待されていた選手です。優勝は02年の1勝だけでしたが、次代のスター候補としてPGAツアーのテレビCMに出演したこともありました。

その彼がようやく……、といったところでしょうか。99年以降、タイガー・ウッズとビジェイ・シンの二人によって独占されてきた賞金王の座に、今年は新たな名前が刻まれるかも知れません。

 そのハウエル、今年もソニーオープンとビュイック・インビテーショナルでともに2位と、なかなか勝てない状況が続いたのですが、先週のニッサンオープンで「敵に塩を送ってくれた」のが、フィル・ミケルソンでした。

 最終日、最終ホール(475ヤード、パー4)をパーでホールアウトすれば、2週連続優勝という状況。ミケルソンは、残り約200ヤードの第2打で、なんと8番アイアンを手にしたのでした。

確かに、アドレナリンの作用で飛距離が伸びる状況です。また、舞台のリビエラCCの18番は奥に外すととりわけ難しいグリーンです。しかし、それにしても200ヤードを8番アイアンというのは短すぎます。

案の定、結果は20ヤードほどもショート。そこからのアプローチも3メートルほどショートし、結果、ボギー。そして、先に上がっていたハウエルに並ばれてのプレーオフ、そして敗退でした。

 ゴルフの技量だけで比べれば、ミケルソンはタイガー・ウッズに匹敵する強豪でしょう。飛距離も、小技も、ともに卓越したプレーヤーです。ところが勝負強さという点で比べると、タイガーの場合、いわゆる“勝ち試合”になればほとんどつけいるスキがないのに対し、ミケルソンには終盤の肝心なところで信じられないポカをおかすことがあります。ティショットを80%の力でフェアウェイに落としさえすればいいシチュエーションで、思い切り曲げてしまう。何でもないショートパットを外す、等々。昨年の全米オープンもそうでした。ティショットを、ホール脇のテントにまで曲げてのダブルボギー。ジェフ・オギルビーに、やらずもがなのメジャータイトルを進呈したのは、記憶に新しいところです。

 その“完璧”でないところに好感がもたれ、人気になっているのかも知れませんが、ただただ“歯がゆさ”を感じているファンも多いことでしょう。

 

とはいえ、今年のミケルソンは、身体も驚くほどシェープアップされています。また、ゴルフの調子も良いようです。今季は、タイガーと同様、メジャーに焦点を当ててシーズンに臨んでいるようです。是非、序盤の調子を維持し、今季のメジャーを盛り上げてもらいたいものです。

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2007年2月11日 (日)

順調にオフを過ごす宮里藍に期待

 プロ野球のキャンプが始まり、スポーツ新聞に“球春”の文字が躍る季節となりました。また、米男子ツアーも開幕から1か月がたち、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンといったトッププレーヤーがツアーに戻り、トーナメントも本格的に熱くなってきたようです。

そして間もなく、今月の第3週に米LPGAツアーがハワイで開幕戦を迎えようとしています。国内ツアーの開幕はまだ先なので、ファンの中にはこの米女子ツアー戦、なかでも宮里藍のプレーを楽しみにしている人は多いでしょう。

実は、先月のソニー・オープンの際、現地・ハワイでトレーニングに励む宮里と少し話をする機会がありました。ちょうど某大学のキャンパスで、主に走りこみのトレーニングをしていた時期で、「脚の筋肉が痛くて、もう大変ですよ」と、いつもの笑顔で近況を語ってくれました。

その会話のなかで、とても印象に残ったことがあります。それは、「今年は、どういうシーズンにしたい?」という質問に対して返ってきた、「今年は勝ちたいです」という答えです。

勝利に対する意欲を、ごくストレートに口にした答えですが、昨年はそうした言葉は聞かれませんでした。昨年はシーズンの抱負を「楽しんでチャレンジしたい」といった感じで答えていたはずです。

それゆえ、彼女の「勝ちたい」のひと言には、今年にかける並々ならぬ意欲がうかがえます。昨年一年の経験から、しっかりとした手ごたえも感じているのでしょう。

昨年の開幕戦「SBSオープン」は、宮里は首位から11ストロークも離された49位タイに終わりました。オフもTV番組の収録やCM撮り、様々なイベント等でずっと忙しく、十分な調整ができなかったためでした。そのため、本人も「勝負はアメリカ本土に戻った3月から」と語る状態でした。

しかし今年は、充実したオフを過ごしているようです。開幕戦から、いきなりの活躍が期待されます。米女子ツアーは、昨年から世代交代の大きなうねりが押し寄せています。アニカ・ソレンスタムの年齢を考えると、今年も絶対的な本命のいないシーズンになりそうです。ならば、宮里にもトップの一角を占めるチャンスはあるはず。本当に楽しみなシーズンです。

もっとも開幕戦は、スポンサーが韓国企業なので、優勝争いはやはり韓国勢が中心となりそうです。米ツアーにおける韓国の選手層は年々厚くなる一方。今シーズンも、おそらく、若くてフレッシュな選手が登場するのでしょう。彼女たちが見せるハングリー精神は――自国のツアーはまだ規模が小さく、米ツアーで失敗することはできないという危機感が彼女たちの大きなモチベーションになっているのでしょうが――日本選手もちょっと見習うべきなのかもしれません。

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2007年1月24日 (水)

すがすがしさに魅せられたT.フジカワ君のゴルフ

ソニーオープンから帰国すると、案の定、ゴルフ好きの方々から、タッド・フジカワ君のことを聞かれる日々が続きました。ゴルフファンならきっと、関心を持たれた以上に、応援をしていたのでは? とにかく、愛らしい。ガッツポーズなどの仕種だけでなく、メディアに対する受け答えも、本当に可愛いゴルファーでした。

タッド君は日系4世の父親と3世の母親の間に生まれた16歳の地元ハワイのアマチュア選手。早産のため、生まれたときは体重わずか1ポンドといいますから、500グラム程度の未熟児で、医者には助かる確率は50%前後と言われたそうです。そのために身体が弱く、その弱い身体を鍛える目的で、幼い頃は柔道を習っていました。すると、8歳のときには、その世代の全米チャンピオンになりました。その後、12歳になってゴルフを始めると、これもまたたく間に上達。昨年は15歳で全米オープンの予選を通過して本戦に出場。アメリカでは、ちょっとした話題の選手になっていました。

 今大会はマンデー・トーナメントを勝ち抜いての出場でしたが、2日目に66の好スコアを出して、予選を通過。米ツアーの予選通過年齢で史上2番目の若さ、近代の米ツアーでは最年少での予選通過となったのでした(米ツアーの最年少予選通過記録は50年まえの1957年に作られたもの)。

彼の活躍は、日本でも一部スポーツ紙で大きく取り上げられたようです。もちろん、地元ハワイでは連日、新聞の一面(スポーツ紙ではなく、立派なクオリティ・ペーパー)を飾るヒーローでした。見出しには「フジカワがゴルフの歴史を変えつつある」という言葉が踊っていました。

彼がそれほどの人気を集めたのは、単に16歳のアマチュア、しかも154センチの小柄な体に、あどけなさの残る表情が魅力的だから、というだけではなかったように思います。彼のゴルフには、今のプロたちにないすがすがしさ、見ている者を元気にさせる“何か”があったからだと思います。そして、その“何か”とは、彼が心からゴルフが好きで、その好きなゴルフを目いっぱい競い合える喜びから来ているような気がします。

 彼はインタビューに、「僕はお金のためにプレーしているんじゃない。僕は、自分のペストのプレーができればいいんです」、あるいは「プロに混じってこんな素晴らしい経験ができるなんて、最高の気分です。皆にもこの気分を味合わせてあげたい」と答えていました。そこには、アマチュアといっても将来プロになることを考えているアマチュアではない、純粋にゴルフが好きでプレーしている、本来のアマチュアの姿があったような気がします。

日本にも、上手いジュニアは確かに増えてきました。でも、彼のように、純粋にゴルフが好きで、それゆえ誰もが応援したくなるようなジュニアは、果たしてどれほどいるのでしょうか?

 試合後のパーティで、少し彼と話をすることができました。ところが、その間も大勢の人が彼のもとにやって来ては、並んで写真を撮ることをリクエストしました。最初彼は椅子に座ったまま、それに応じようとしたところ、そばにいた母親が「タッド、失礼でしょう。ちゃんと立って、並んで写してもらいなさい」と注意をしたのです。すると、タッド君はすぐさま立ち上がると、「失礼しました」と一言謝ってから、笑顔でカメラにおさまり、撮影後はきちんの感謝の言葉を述べ、握手をしていました。それは、何十人にも、です。

 そうした姿を、日本のジュニアたちに見せたい。私は、そう思いました。

 なんでも、彼には尾道に親戚がいるそうで、その親戚を訪ねる機会があれば、「そのときに日本でもプレーしてみたい」と言ってくれました。日本でタッド・フジカワ君のプレーが見られる可能性はありそうです。そのときを期待しましょう。

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2006年12月30日 (土)

年末に再度憂うべき出来事

 一年を締めくくろうという時に、またもゴルフ関係者を嘆かせる、「唾棄すべき」所業が明らかになりました。メディアで報じられているので詳しく紹介しませんが、女子ツアーのQTにおいて、若手の某選手がスコアを改ざんしていたことが判明。日本女子プロゴルフ協会は、事実を確認後、すぐに同選手を10年間のプロ資格停止としました。

 正直、言葉を失います。

 ご存じのように、この8月、日本オープンの予選会で、将来を嘱望されていたある若手選手が同様のスコア改ざんを行いました。ゴルファーが自己のスコアを正直に申告しなければ、ゴルフは現在の競技形式では存在しえません。ですから、彼の行為は「ゴルフの存在そのものを踏みにじるもの」として、厳しく指弾され、この出来事は大きな騒ぎとなりました。

そして、単に彼個人を非難するのではなく、そうした選手を生み出した現在日本のゴルフ界の環境、価値観が問い直されることとなったのです。つまり、「ゴルフ関係者、皆が反省すべき事態では」という反応です。その矢先に、またしても……。日本のゴルフの根本的規範が壊れつつあるのでしょうか。

 

かつて日本ゴルフ協会資料委員長も務めた、作家でありゴルフ史家の故・摂津茂和氏の著書『不滅のゴルフ名言集』に、イギリスの新聞に掲載された言葉として、次のような言葉が紹介されています。

「ゴルフを悪く(Worse)したのはアメリカ人だが、ゴルフを最悪(worst)にしたのは日本人だ」

 イギリスのゴルファーにとって、ゴルフをレジャー化したアメリカ人は「ゴルフ文化を歪曲した」という理解なのでしょう。ところがさらに、経済大国となって以降、日本のゴルファーはエチケットやマナーを解さない、最悪のゴルファーと映ったようです。同書には「日本大使館に、日本人ゴルファーお断りの強硬な抗議をしたイギリスのゴルフ倶楽部でも、厚かましいエコノミック・アニマルたちが、日本独特の『コンペ』なるものを催して、盛りたくさんの賞品をもとに、ガツガツしたプレーをした挙句、食堂では傍若無人にワイワイ騒いだのであろう」という一文があり、それゆえに「日本人がゴルフを最悪にしたという皮肉は当たっているのかも」と続けられています。

 私も20年ほど前に、ある若者向け雑誌に同様のエッセーを書いた記憶があります。それはタイのあるゴルフクラブで、日本人のコンペ後のパーティを見かけたときのことでした。当時のタイのクラブです。当然、名門クラブであり、そこに集うメンバーは自国の「ゴルフ文化の担い手」としての誇りを持っていたはずです。そこに、いわば「金にあかした」日本人ゴルファーが我が物顔で、アルコールが入った勢いで大声を発しながら、なかにはベットの現金清算をするといった振舞いを見て、とても悲しく、恥ずかしい思いをしたのです。

 当時も、そしてそれからも、私は機会あるごとに「ゴルフにとって大事なものは何か」を問いかけてきたつもりです。

にもかかわらず、今回のスコア改ざんという、ゴルフにとっては最もあってはならないことが、しかもともに20代の若者によって行われるとは……。当事者はむろん、彼らの指導者は指導の過程でいったい何を教えてきたのでしょうか。

 2000年だったと記憶します。R&Aは「委員会はマナー違反にも罰打を課すことができる」というローカルルールを認める改訂を行いました。それは、R&Aがアジア、アフリカのゴルフ未開の土地に今後ゴルフを普及させるのに際し、エチケット&マナーの浸透が後回しになる事態を恐れてのことと言われています。つまり、ペナルティがあれば、エチケット&マナーを覚えようとするだろうという狙いです。

 エチケット&マナーはゴルフというゲームの大前提です。そのため、ゼネラルの『ゴルフ規則』にはエチケット&マナー違反に対する罰打はありません。それを守れないゴルファーは、いるはずがないという前提があるからです。

 さて、今の日本はどうなのでしょうか。

今回の事態を受け、再度、指導者にはただ技術を教えるのではなく、ゴルフの文化や精神をきちんと教えてもらいたい。そう望まざるを得ません。

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この写真は、今年、浜松町に新築された文化放送の新社屋のスタジオから今年最後の収録前の様子です。

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2006年12月28日 (木)

アジアンツアー

先月、アジアンツアーは07年のツアースケジュールを、まさしく誇らしげに発表しました。そのリリースには、「アジアンツアーは07年、全29試合で賞金総額2650万ドル(約31億円)を超えるという、ツアー史における画期的な年となります」と謳い上げられています。

現在のアジアンツアーは2004年に発足した歴史の浅い組織ですが、3年目の今季も既に全27試合、賞金総額2400万ドルにまで成長していました。それが、中国・アジアの経済成長の勢いをかり、わずか4シーズン目の来季、ついに日本ツアー(全24試合、賞金総額30億2000万円)を追い抜くことになったのです。今後の追加で、最終的に30試合を超えるとの見通しも示されています。

そのため、アジアンツアーのハン会長はリリースのなかで、07年のスケジュールは、アジアンツアーが世界で最も急拡大するツアーとして、新しい時代を迎えたことを宣言するものである。これからは我々のツアーメンバーが、アジアンツアーの内外で素晴らしいパフォーマンスを見せながら、世界のゴルフ界で活躍していくことだろう。アジアンツアーは、世界のプロゴルフ界において注目されるポジションに立った。その結果、今後は世界のツアーに新しい局面をもたらすと信じている」といった、まるで“勝利宣言”のような、自信に溢れた発言が随所に見られます。もちろん07年のツアーイベントには、欧州ツアーとの共催、あるいは欧州と豪州ツアーとの共催イベント――それは、つまり大きなスポンサーのトーナメント――が9試合もあり、その共催のお陰で規模が拡大したことは否定できません。しかし、単独競技でもシンガポール・オープンは400万ドル、HSBC選手権は500万ドルですから、日本のトーナメント規模(今季最高は日本オープンとダンロップフェニックスの2億円)をはるかに凌駕しています。

 半面、パキスタンやカンボジアといったゴルフがまだ普及していない国々でのトーナメントは30万~50万ドル(3500万~6000万円)程度で、この小規模の大会がツアーの半分ほども占めている不均衡、まだら模様の構造は残されています。それでもハン会長は、傘下のアジア各国で万遍なく、なるべく多くのトーナメントを開催し、一般市民にプロのプレーを見せることでゴルフの普及につなげたいのでしょう。そして、それが最終的にツアーの繁栄に結びつくという“戦略”があるのでしょう。

 また、ハン会長は欧州ツアーなどとの共催が9試合もあることについて、「戦略的パートナーとの国際的な協力関係は、スポンサーとプレーヤーがともに大きな利益を得る機会を創造するものとして、依然重要である」として、その有益性を強調しています。ここからは「欧州ツアーとの共催で大きなスポンサーを捕まえることで、ツアーとプレーヤーに余裕をもたらし、その分でゴルフ途上国での規模の小さい大会を維持していこう」という“戦略”がうかがえます。

 

 現アジアンツアーがスタートした04年、日本ツアーとの共催競技・沖縄オープンで来日したハン会長は、ゴルフ関係メディアに積極的に登場し、「アジアンツアーは発展途上なので、日本ツアーとの共催は今後もっと増やしたいし、日本ツアーの支援もお願いしたい」と強く訴えていたことを覚えています。

 それが今や……。寂しいことに、今回のスケジュール発表のリリースには、その沖縄オープンの中止については、一言の言及もありませんでした。

立場が逆転したのでしょうか。もしそうであるとすれば、彼我の差は、中国・アジア諸国と日本の景気の差だけではないのでしょう。アジアンツアーにあって、日本ツアーにないのは、国際的な視野に立った“戦略”なのでは? ハン会長が、欧州ツアーと積極的に共催することで大スポンサーを呼び込んだような……。

 日本はもともと島国で、外交下手、戦略性外交に劣ると言われてきました。日本ツアーも、これまでは目を内向きにしていても生きていくことができました。しかし、これからは国際的なポジションを明確にし、世界との関係を構築しなければ、成長戦略は難しい時代です。例えば、「欧州・アジアンツアーとの強力関係を深め、中国でのトーナメントはすべて3ツアーの共催競技にする」。あるいは、「米ツアーの下部ツアーと位置づけ、米ツアーのシード落ちした選手にはファイナルQTの受験資格を与える替わりに、賞金ランキング上位10位まで米ツアーのシード権を認めさせる」。いずれも日本選手の出場枠が狭まるため、選手側からの強い反発があるでしょう。でも、ツアー上層部に明確なビジョンと戦略があれば、断固とした指導力が発揮されるはずです。

 もともと好況な米ツアーが、フェデックスカップというドラスティックな変革を断行する時代。日本ツアーの停滞がひと際目立つのはなぜなのでしょうか。

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2006年12月16日 (土)

今後のLPGAに一言!

先日、男子ツアーに続いて日本の女子ツアー(LPGA)の来年のスケジュールが発表になりました。寂しい男子ツアーとは違い、試合数は36試合(近未来通信が開催を中止し、アクサ生命保険が新規開催で増減なし)。ツアーの賞金総額は史上最高額の今季を1億円以上上回る28億7820万円となりました。

また、シード選手の平均年齢は、2年前より約4歳も若い、28.96歳となり、世代交代がうまく進んでおり、来季も白熱した戦いが見られるのではないでしょうか?そういう意味では楽しみが多い女子ツアーなのですが、冷静に今のLPGAを見ると心配がまったくないのか?と言うわけではありません。

宮里藍が今年は初めから海外参戦で抜けたものの、横峯さくらや大山志保などの新しいスターが登場し、日本のツアーを支えてくれました。さらに宮里藍も秋の日本女子プロゴルフ選手権から数試合に参戦し、活躍したことも今年の女子ツアーの活況につながったと思います。

今後、アメリカのツアーには大山をはじめ日本のトッププロが参戦していくことになるでしょう。また、今年も活躍していた韓国や台湾などの外国人選手の存在も無視できません。来季の出場権をかけたLPGAのクォリファイングトーナメントでは、上位に8人の外国人選手が入っており、彼女たちもまた、優勝争いに加わる存在だと思います。特に韓国人選手の活躍は、アメリカツアーなどを見てもめざましいものがあります。アメリカの賞金ランキングの上位30位内に12人が入っており、日本でも、ベスト5のうち3人は韓国の選手です。

関係者の中には、外国人選手の出場枠に制限を設けては?という発言をしている人もいるようですが、果たしてそれが正しい判断なのでしょうか?プロスポーツでは、世界の中でいかに戦うか?世界フィールドの中でプレイヤーがその力を発揮し、そのイベントが世界の中で地位を確立していくことが大事なのではないでしょうか?ゴルフだけでなく、野球などもアメリカが世界一のツアーになるのには、それなりのマーケットが作り上げられて、その中でトーナメントやゲームが作られ、そして、世界の中から選ばれたトップのプレイヤーが集まり、結果として世界最高峰のツアーになっていったのではないでしょうか?日本の中に世界レベルのトーナメントが存在すれば、自ずと世界のトッププレイヤーが集まってくるのではないでしょうか?そういうことを考えると、国内で外国人選手を制限するなどということをしては、いつまでたっても世界レベルのスポーツマーケットは確立されないのではないでしょうか?日本人として、日本選手が勝たないと盛り上がらないと思うのであれば、日本選手が本気で戦う姿勢をもっと見せて欲しいものです。締め出して日本国内だけで盛り上がることが本当に良い結果を生むわけはありません。

今のように人気があり、活況を呈している時こそ、日本のLPGAも将来のための方針や、政策を真剣に考えておく必要があるのではないでしょうか。それは男子ツアーの話でも触れましたが、ジュニアの育成であり、ツアーとしての環境作りであり、5年後、10年後のゴルフ界を見据えた政策をしていかないと、数年先に男子と同じ道を歩んでしまう可能性は否定できないでしょう。手遅れになる前に考えてもらいたいと思います。

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2006年12月11日 (月)

男子ツアーについて思うこと!

先日、来年の日本の男子ツアー(JGTO)のスケジュールが発表されました。結果は、5試合減の24試合ということになりました。現在の男子ツアーの状況を象徴するような結果に、予想はしていたものの少し驚きました。

今の男子ゴルフには、強い選手やゴルフの“うまい選手”は確かに以前より増えています。しかし、この強い選手や“うまい選手”だけでは、多くのファンはついて来ないのでしょう。プロスポーツの世界には、強い選手だけではなく、「魅力ある選手」が欠かせないのです。日本の女子ツアーは、宮里藍や横峯さくらという「魅力ある選手」が登場したことで、現在の盛り上がりを見せています。例えば、相撲の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。千代の富士や貴乃花と言った「魅力ある選手」がいた時代と、今のように“強い”朝青龍しかいないような時代とでは、やはり一般に対するアピール度が違います。

また、男子ツアーの現状に対し、いろいろな方面の人々が「選手がだらしない!」等の発言をしているようですが、本当に選手だけの責任なのでしょうか。ジャンボ尾崎や青木功がスター選手として活躍していた時、彼らは、誰かの指示や誰かが作り上げた選手だったのでしょうか? タイガー・ウッズは誰かが作ったのでしょうか? そうではないはずです。スター選手はある土壌、ある環境から登場したのではないでしょうか?

そこで、スター選手の登場を促すのに今すべきことは、ゴルファーの底辺を拡大させ、豊かな土壌からエリートプレーヤーを育成して全国規模、いや世界規模で切磋琢磨させるシステム作りをすることだと思います。スター選手はたくさんの“強い選手”の中かが生まれるものであって、スター選手だけを創ることはできないからです。小手先の改革で変わるほど甘くはありません。

では、日本の男子ツアーを統括する社団法人日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、そうした土壌作りのために何かしているのでしょうか? 全く何もしていないとは言いませんが、トーナメントの開催数が5試合も減って、24試合になってしまったことに関して、誰も責任も取らないようでは、ツアーの改革もなかなか進まないのでは? ゴルファー失格としか言いようのない“スコア改ざん”の選手に対し、5年間の出場停止と罰金200万円という処分にとどまった組織では、トーナメント数の減少くらいでは、誰も責任をとらずに済むということなのでしょうか。

来季のアジアンツアーでは、欧州や豪州ツアーとの共同開催も含め、日本のツアー数を超えるトーナメントが開催される予定です。このままでは、アメリカのPGAツアーと、アジアと豪州を巻き込んだ欧州ツアーが世界の2大ツアーとして発展し、日本ツアーは、テレビ中継を含めて存在感の薄いツアーになってしまうのではないかと心配です。

ある意味では、24試合になったことも必然では、と思います。日本のゴルフ界は総力をあげて、底辺を拡大し、ジュニアゴルファーの環境作り等を早急にしていかないと、本当に将来はないと思います。

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2006年12月 9日 (土)

注目されるフェデックス・カップのゆくえ

先日の来年の日本の男子ツアーの日程発表がありましたが、その件は次回お話します。今日は、来季のアメリカツアーに関してお話しましょう。アメリカのPGAツアーに関心のある人は、来季ツアーの成り行きを楽しみにしているのかもしれませんね。PGAツアーは07年シーズンからツアーの仕組みを大きく変えます。野球やフットボール、バスケットボールといったメジャースポーツと同じように、レギュラー・シーズンの後にプレーオフのシリーズ戦を設け、ファンの関心を最後までもたせようというのです。

「フェデックス・カップ」という名称で行われる来季のPGAツアーは、まず1月のメルセデス選手権から8月第3週のウィンダム選手権までレギュラー・シーズンの全36試合が開催されます。各トーナメントは従来どおりに実施され、賞金も従来どおりに配分されるのですが、ツアー全体をフェデックス社がスポンサード。トーナメントごとに、順位に応じて選手にポイントを配分。そして、レギュラー・シーズンが終えたところで、累積ポイントの上位144人が、ウィンダム選手権の翌週から行われる4試合のプレーオフに進出することになります。

プレーオフではそれまでの獲得ポイントをリセット、新たにプレーオフ初戦からポイントを競い合い、その上位120人がプレーオフ第2戦へ。次の第3戦へは上位70人が進出。そして、最終戦のツアー選手権はプレーオフポイント上位30人だけが出場します。

 このフェデックス・カップの賞金総額は3500万ドル、日本円で40億円余。そして、プレーオフ4試合でのポイント1位に賞金1000万ドル(約115000万円)が贈られるのです。

 PGAツアーがこうした仕組みを採用したのは、シーズンを通じてなるべく高いテレビ視聴率を獲得する狙いからです。もともとプレーオフ制度のある他のメジャースポーツは、レギュラー・シーズンの終盤からプレーオフ、そしてファイナルへとファンの関心が高まり、高いテレビ視聴率を獲得しています。ところが、これまでのPGAツアーは8月の全米プロが終わるとシーズンは山場を越したという感じで、有力・人気選手の多くが欠場するようになります。結果、視聴率が低下し、テレビ局が得るCM収入は減ってしまいます。

 現在のメジャーなプロスポーツ組織は、放映権料によって運営が成り立っていると言って過言でありません。世界中でスポーツの放映権料が高騰し、今やスポーツ組織の存続・発展はいかに巨額の放映権料を得るかで決まっているようです。そうしたなか、タイガー・ウッズの登場により高い放映権料を設定してきたPGAツアーも、今季は長年中継を担当していたABC(ネットワークテレビ)とESPNCATV)に更新を断られるなど、行き詰まりの感がありました。そうした危機感から踏み切ったのが、今回のプレーオフ制度なのです。

 それにしてもプレーオフ4試合の総合1位選手に賞金10億円超とは……。

しかし、ポイント制度上、実力が抜きん出ているタイガーにしても、1位になるには出場2試合では厳しく、初戦と最終のツアー選手権の他にもう1試合出場しなければ、総合1位は確保できないでしょう。

 実は、そこが問題になるかもしれません。多分、タイガーも最初の1~2年は「フェデックス・カップ王座」を目指して来るのでしょう。しかし、7月以降のツアースケジュールを見ると、7月後半の全英オープンから8月の全米プロ、WGCブリヂストン招待と隔週で大きなトーナメントが開催されます。いずれも例年、タイガーが出場している大会です。その疲れが取れないまま、8月下旬からの4試合に、果たしてタイガーはどれほどのモチベーションを持って出場するでしょうか? 

たとえ、総合1位の賞金が10億円超だとしても……。金額だけでいえば、今やタイガーにはもっと楽に4週間で10億円を稼ぐ道がいくらもあるでしょう。最近設立したゴルフ場設計会社の仕事であれば、さらに巨額な仕事だって受注できるでしょう。

 つまり、せっかくこのようなファンの注目を集めるプレーオフ制度を導入しても、タイガーのモチベーションを引き出す――賞金ではない何かがなければ、タイガーの出場は確約できないのです。タイガーだけではありません。フィル・ミケルソンも、「賞金の額は関係ない。連戦は避けたいし、もっと家族といる時間を持ちたい」と言い出す可能性は大いにあります。実際、この二人、今年は出場するだけで1000万円超は得られるツアー選手権を、連戦の疲労を理由に欠場しているのですから……。

 最初の1~2年は大丈夫だと思いますが、その後、このプレーオフ制度に対し、トッププレーヤーがどのような判断をするのか。評価は、長い目でしなければならないのかも知れません。

 

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2006年11月25日 (土)

M.ウィーについてひとこと

今日は、日本の男子ツアー“カシオワールドオープン”に昨年に引き続き、出場している17歳の女子プロゴルファー。M.ウィーについてお話しておきましょう。

私は1月にハワイで開催されている“SONY OPEN イン ハワイ”の仕事で彼女に出会いました。もちろんそのころはまだアマチュアでまさに天才少女と言っても良い存在でした。恵まれた体から繰り出すショットには驚かされたものです。インタビューなどでいろいろ話をする機会もあったのですが、しっかりとした受け答えでプレーだけでなく、今後が期待できるゴルフファーだと思っていました。

彼女がSONY OPENをはじめ多くの男子ツアーに挑戦する意味は、彼女や彼女の両親そして彼女を取り巻く人々にとっていろいろな意味があるのでしょう。しかし、1度や2度の挑戦はともかく、世界中で何度も挑戦し続ける意味とは何なのでしょうか?ギャランティをされて挑戦していくことにどういう意味があるのでしょうか?私は正直に言って少し心配しています。まだ女子の世界でも大きな勝利もなく、正式なツアーのライセンスも取れていない状況で、彼女の今の姿は本来の彼女の育っていく姿だったのでしょうか?昨年に続き今年も彼女は予選落ちをしてしまいました。それも今年は101人中100位での予選落ちです。男子ツアーに出場して仮に予選を通過したとしても、それは、あくまでも予選を通過したという意味しかないのではないでしょうか?

まだ17歳です。これから多くの努力と経験で素晴らしい素質を開花させる可能性は充分に秘めているはずです。万が一、このまま終わってしまうようなことがあるとしたら、本当に惜しいと思います。彼女のように若い魅力あるプレイヤーをきちんと育てていくことは重要ではないでしょうか?

これからの彼女の動向は注意して見ていきたいと思っています。

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2006年11月22日 (水)

不動裕理の復活に期待する

国内女子ツアーも、今週の最終戦、明日からのツアーチャンピオンシップを残すだけとなりました。

今シーズンを振り返って、とても気がかりことがあります。今年も春先に2勝したのですが、昨年まで6年連続賞金女王だった不動裕理の急激な失速です。これがテクニカルな問題、あるいはどんなに素晴らしいプレーヤーでも避けられない年齢による身体能力の変化で、いずれはその変化にアジャストできる問題であればいいのですが、「バーンアウト」、いわゆる燃え尽き症候群で闘うモチベーションを失ったわけではないことを願うところです。

 私は、かねてから不動に対しては最大限の賛辞を送ってきました。それは6年連続賞金女王といった数字に現れる実績に対してではなく、ゴルフに対する貪欲な姿勢を評価してのことです。

「もっと強くなろう」とする彼女の姿勢にはこれまで幾度も驚嘆させられました。

今年も、その象徴的な出来事がありました。9月の日本女子プロゴルフ選手権のことです。今年の同大会は北海道のニドムクラシックで開催されました。北海道の今夏は猛暑のため芝の発育が悪く、同コースでもフェアウェイがところによっては芝付きがまばらな状態でした。そこに大会初日の大雨。フェアウェイでも芝のある箇所と、芝が薄くベアグラウンドに近い箇所では、ボールのライの状態が違いすぎてアンフェアになるとの判断で、競技委員会は初日、2日といわゆる「6インチルール」を採用しました。スルーザグリーンでは、ボールを拾い上げ、拭いたうえで6インチプレースを認める特別ルールです。

 ところが、不動は同ルールを一度も使いませんでした。そうした選手は、恐らく彼女ひとりだったようです。

報道によれば、そのことについて不動は、

「ゴルフは、ボールをあるがままでプレーするスポーツ。ほとんどのホールで(芝の状態が)良くないから、この大会だけを考えれば(同ルールを)使ったほうが上位にいけるし、スコアも良くなると思う。けど、毎回使えるわけではないので、長い目で見たらそのまま打ったほうが自分にはプラスになると思って使わないようにしています」と答えていました。

 この発言が意図するところを詳しく説明したメディアはないので、彼女の真意はよく伝わっていないのでは……? スポーツ新聞には、単に彼女がルールに厳格だからといった表層的な理解を紹介した記事もありました。

 私が思うに、彼女の真意はこうだったのでしょう。

「ボールがあるがままにプレーするのが基本。だから、今後の試合で似たような状態のライになったとしても、必ず6インチプレースが使えるわけではない。だったら、同ルールを使わないで、悪いライからのプレーの経験を積んだほうが、自分にとってプラスになるから使いませんでした」

 つまり不動は、同大会の成績だけではなく、将来までを考え、自分のゴルフにとってどうしたほうが「プラス」かを判断し、特別ルールを使わなかったのです。

 数年前のフジサンケイレディスでこんなことがありました。大会コが、まだ富士桜CCで行われていたときのことです。

大会2日目の16番パー3で、不動はティショットをダフり、ボールをグリーン手前の池に落としてしまいました。

この場合、普通は池の手前まで進んでドロップし、ウェッジで第3打のアプローチを狙います。

ところが、彼女は迷うことなく、ティからの打ち直しを選択したのです。

その試合の成績だけを考えれば、前進し、ウェッジでアプローチした方が断然有利です。彼女の技量を持ってすれば、寄せワンでボギーで上がる可能性も大きかったでしょう。

しかし、不動は自分のゴルフを高めるには、その160ヤードほどのティショットをもう一度打ち直したほうが良い。その方が自分のゴルフに「プラス」になると判断したのです。

 その真意に触れたとき、不動の貪欲な姿勢に驚嘆し、底知れないスケールの大きさに関心させられたものでした。

だからこそ、来季の復活を心から願わずにはいられません。

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2006年11月18日 (土)

52歳 中嶋常幸プロの優勝

「伊藤園レディス」と同じ週に開催された男子ツアーの「三井住友VISA太平洋マスターズ」は、52歳、シニアツアー選手の中嶋常幸が片山晋呉や谷口徹といった有力選手を退けて優勝しました。

「お見事」というしかありません。……いや、正直言うと、「若手は何してる!」という思いもあります。

 それはともかく、中嶋のレギュラーツアー制覇については、決してフロックではなく、「それだけの力があった」と言っていいでしょう。同トーナメントで見せた彼のプレーは、後日、ビデオでチェックしたのですが、72ホール目の最後のパットまで、肉体的な疲労がほとんど感じられませんでした。最後までスウィング軸にブレのない安定感のあるフォームで、フェアウェイを歩く姿も背筋がピンと力強く伸び、緊張感に緩みはありませんでした。

 彼の今季の充実ぶりについては、実は今年9月のサントリーオープンで、ちょっと知る機会がありました。中嶋とたまたま同じテーブルで朝食をとったときに、彼が嬉しそうにこんなことを言ったのです。

「戸張さん、聞いてくださいよ。僕、最近、ボールがよく飛ぶんですよ」

「えっ、ほんと! いったい、どうしたの?」

「ヘヘヘッ……、内緒(笑)」

「内緒って、それはないだろう(笑)」

「実は……」と彼が明かすには、どうやら筋肉トレーニングの内容を変えたようです。背筋などの、いわゆる大きな筋肉をじっくりと時間をかけて鍛えることで体幹の安定感を増し、それによって安定した大きなスウィングアークを作り出し、飛距離を伸ばしたようです。

「戸張さん、一度、見てみてよ」と言われたので、大会期間中に彼の組に付いて見たのですが、実際に飛んでいました。300ヤードをゆうに超えるショットもあったほどです。

 52歳にして、300ヤードドライブ。

 こうなると、シニア選手に対する概念は変えなければいけません。「シニア=力が衰えた」という考えは、もう古いのかも……。

用具とトレーニング方法の進化により、シニアの飛距離がさほど落ちなければ、トッププレーヤーの彼らはもともと小技が巧み、しかもシニアとレギュラーの両ツアーに出ているから試合感は鈍っておらず、精神的なタフさも持ち合わせています。もう「力が衰えた」とは言えないのでしょう。

今回の太平洋マスターズでも、同じくシニアプレーヤーで51歳の室田淳が3日目まで中嶋と並ぶ10位タイに入り、最終的に15位タイとなる健闘を見せました。

レギュラーツアーの平均ストロークの数値を見ると、(規定ラウンド数に満たないため正式にランクインはしていませんが)中嶋のランクはなんと15位相当、そして室田のランクは25位です。つまり、どちらもツアー優勝して不思議ではない実力を示しているのです。

また二人は、今年のシニアトーナメントで続けて接戦を演じています。8月のファンケルクラシックでは、二人がプレーオフで争い、室田が優勝。翌9月の日本プロシニアでは、中嶋が高橋勝成とのプレーオフを制して優勝し、室田は3位。さらに翌10月の日本シニアオープンでは、中嶋が室田を1打抑えて大会連覇……。このようにシニアツアーでシビアな優勝争いを重ねてきたことが強みとなり、レギュラーツアーでの好成績につながっているのかも知れません。優勝争いの緊張感のなかでプレーしてきた経験が、レギュラーでも大きな支えになったのです。

 さほど衰えない飛距離に加え、技術的にも、精神的にも充実している中嶋。

では、レギュラーツアーの若い選手たちは、どこで中嶋らシニアのトッププレーヤーを凌駕しようというでしょうか。それが見えないのが、歯がゆい限りです。

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2006年11月 4日 (土)

宮里藍の国内参戦の意味

今週の日本では、USLPGAのツアーでもある「ミズノクラシック」が開催されています。もちろん藍ちゃんもアメリカツアーのメンバーとして、日本のトッププレイヤーとして参戦しています。かなり混戦になっているようですが、良いポジションにいるようです。明日の最終日が楽しみですね。それにしても毎週、女子ツアーは素晴らしい展開になりますね。

 ところで、先週のIDC大塚家具レディス。その盛況ぶりは簡単に紹介しましたが、特に最終日は1万人に迫る大ギャラリーが来場。また、テレビ東京系で放送された中継の視聴率は、関東地区で13.1%と今季ゴルフ中継では最高の数字を記録しました。視聴率で比べれば、同日開催の男子ツアーの2倍以上(男子は3%台)の注目を集めました。男子ツアーも最終日は片山晋呉がトップを猛然と追い上げ、プレーオフの末、逆転優勝を果たすという見ごたえのある試合展開だったのですが……。

 IDC大塚家具レディスがそれほどの話題になったのは、優勝争いの主役となる最終組が福嶋晃子、横峯さくら、宮里藍という、いずれも華があって、魅力的な顔ぶれになったからです。そのなかでも、宮里の人気に負うところが大きかったことは間違いありません。

 その“宮里人気”が国内ツアーにもたらしたことを少し考えてみたいと思います。

まずは、スーパースターである彼女が出場することにより、直接的に、トーナメントは盛り上がります。宮里はIDC大塚家具レディスまで5試合に出場して2試合で優勝。全試合、最終日最終組でプレーし、いずれも優勝争いにからむ活躍です。ファンは、(優勝はともかく)藍ちゃんには藍ちゃんらしい、積極的で小気味のいいゴルフを見たいと願うもの。その期待が裏切られないのですから、ギャラリーが会場に足を運び、ファンがテレビのチャンネルを合わせるのは当然でしょう。

そして、それにより――これまでゴルフにあまり興味のなかった人も含め――より多くの人に、ゴルフの面白さ、トーナメント観戦の楽しさが広がっているはずです。なかには、宮里以外にも魅力的なプレーヤーを発見したファンもいたはずです。

宮里人気は、単にそのトーナメントを盛り上げるだけではなく、ツアー全体の人気、注目度のアップに貢献しているのです。

さらにこんな効果もあります。

IDC大塚家具レディスで、横峯は福嶋とプレーオフまで競り合いましたが、彼女は最終日を前にした28日のラウンド後にこんな発言をしています。

「藍ちゃんが(米女子ツアーから)帰ってきて4戦2勝。日本の女子プロのひとりとして、負けたくない! 藍ちゃんに簡単に勝たれると、日本の女子プロゴルフ界が盛り上がらない!」

 いうまでもなく二人は大の仲良し。最終日もコース上で談笑する姿が何度も見られました。しかし、それと勝負は別。またプライドも、日本ツアーを代表するという立場も別です。宮里の活躍が、ライバルの横峯の闘志をかきたてたのです。横峯だけではありません。同様の闘志を福嶋も心に秘めていたはず。大山志保も、早くから「負けたくない」といったことを口にしていました。

つまり、宮里の参戦がその試合だけでなく、ツアー全体の熱気を高め、結果的にレベルアップにつながっているのです。

 2年前の秋、米ツアーから丸山茂樹が一試合だけ国内ツアー戦にスポット参戦したことがありました。そのときに丸山は、「女子ツアー人気に押されている男子ツアーに、ファンの注目を取り戻すために、いま僕ができる最高のパフォーマンスを見せたい。当然、勝つつもりでやります」と発言。実際、その大会では予選落ちの危機から挽回し、最終的には優勝争いにからむ活躍をみせました(最終順位は2位タイ)。

その活躍により、最終日には1万1000人を超える大ギャラリーが丸山見たさに会場に足を運びました。そして、丸山の闘志につられるように、日本ツアーの選手たちも奮闘。最終的には、「このまま(丸山を)勝たせたら、またアメリカとのレベルの差、とか言われてしまう。僕が頑張らないと…」と巻き返した谷口徹が逆転優勝したのです。

しかし、あのとき丸山が引き続きもう3~4試合、日本でプレーすれば、熱気はもう少しツアー全体に広がり、周囲の選手により大きな刺激を与えたはずです。

 今回の宮里は、帰国直後の9月から計7試合、国内でプレーする予定です。そこには――本人は口にしていませんが――「自分を育ててくれた日本ツアーを盛り上げるために」という思いがあるのでしょう。

そうでなければ、賞金ランキングも、獲得賞金額もほとんど気にしなくいい彼女が、体調不良(富士通レディースの前には緊急入院もしています)を押してまでも試合に出るはずはありません。

宮里は、トーナメントを盛り上げ、ツアー全体を活気付かせ、そして周囲のプレーヤーの刺激となって、闘志向上とレベルアップの機会を与えているのです。それは、つまり――利己的な思いではなく――日本ツアー、日本のゴルフ界のために、彼女なりに使命感を感じてプレーしているからなのでしょう。

そのことは、きちんと評価してあげたいと思います。

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2006年9月28日 (木)

スコア改ざんの不祥事

前々回、簡単に触れた「スコア改ざん」の不祥事ですが、去る25日、問題のプロゴルファーに対する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の処分が発表されました。それによれば、同理事会では過去に例のない除名処分を求める意見もあったそうですが、初犯であることを考慮して、規定では「除名」についで重い処罰となる「ツアー出場停止5年」と過去最高額の「制裁金200万円」を課すことになりました。今後、本人側からの「不服申し立て」がなければ、この処分が実行されることになります。

また、日本ゴルフ協会(JGA)からも、今後、追加処分(競技失格の処分は既に受けている)が発表される予定です。実は、JGTOの処分が検討される段階で、JGAの人間がJGTOと事前協議を行っています。処罰のすり合わせ、でしょうか。ですから、JGAからも同程度の処罰が下されることになるはずです。つまり、JGA主催競技の5年間の出場停止といったところでしょうか。

さて、今回の両団体の対応ですが、まず処分決定が遅すぎます。

不祥事が起きたのは、1か月も前の8月28日のこと(日本オープンの最終予選)。ところが、JGTOの処分が発表されたのは、9月19日に某夕刊紙が1面で大きく取り上げ、その翌日に一般・スポーツ紙が一斉に大きく報じる騒ぎとなったあと、さらに1週間がたってからのことです。競技の主催者であるJGAは、ことの重大さからして、臨時の委員会を開催しても、早急な処分を下すべき問題だと思います。問題は、単なる競技上のトラブルではなく、ゴルフの存在そのもの危うくさせる重大な背信行為なのですから。

その点から判断すると、「5年間の出場停止」という処分は軽すぎるように思います。

言うまでもなく、スコアを正しく申告することはゴルフというゲームの根幹です。これがないがしろにされれば、ゴルフはもはや競技として成立しません。今週発売の『週刊ゴルフダイジェスト』に、私は次のようなコメントを寄せました。

「ルールブックの冒頭、『ゴルフ規則の本質と精神について』という項には、『ゴルファーはみな誠実であり、故意に不正をおかす者はいないということが基本的な考え方になっている』という一文があります。この精神があるからゴルフはレフェリーの立ち会わない唯一のスポーツであり続けられるのであって、彼の行動が事実なら、ゴルフの存在そのものを危うくさせるもの。ゴルファー失格と言うしかないでしょう」

彼に対しては、「ゴルファー失格」と断罪するしかないと思います。

厳しい言い方ですが、彼はプロフェッショナル・ゴルファーとしての資格は剥奪されてしかるべきであり、競技ゴルフへの出場も永久に認めるべきでないと思います。念のため、私は競技ゴルファーとしての彼の資格、地位を認めないというのであって、人格そのものを否定しているわけではありません。

 両団体の今回の処分は「遅すぎ」、しかも「軽すぎる」。つまり、ゴルフの権威を守るべき立場の団体にしては、ことの重大さに対する認識が甘かったというのが、私の見解です。

「プロフェッショナル」とは、一般に「職業人」、つまりその分野で収入を得ている人と考えられていますが、語源をたどると、「神に信仰を誓う」という意味の「profess」から転じ、「その道の倫理を守り、品位を損なわないことを誓って、その道に従事する」ということで、古くは聖職者や弁護士、医師に対して用いられた言葉のようです。この語源からしても、プロフェッショナル・ゴルファーは“ゴルフの基本精神”に対しては、一般のゴルファーよりははるかにストイックな姿勢が求められ、その背信は厳しく処せられて当然なのだと思います。

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2006年9月23日 (土)

子供の教育

前回は、早実の斎藤佑樹投手が「国民的アイドル」になった理由は、実力とともに、凛として爽やかな印象を与える「受け答え」や「立ち振る舞い」にあることについて触れました。そして、彼のそうした素養は、恐らくは家庭ではぐくまれたものでしょうから、斎藤家の教育、しつけの中身が気になるところです、といったような話を書きました。

 そこで、思い浮かべることがあります。毎日新聞の連載でも触れたので詳しくは書きませんが、先日、男子の競技会(ツアー競技ではない)である若手プロがスコアを改ざんし、失格になるという事件がありました。スコアカード提出所で、マーカーが記入したカードをその選手がアテスト後、マーカーの選手が席を立ったあとで、消しゴムで消して改ざんしたというのです。しかも、3ホールも……。

 実は、最近、ジュニアの競技会では「スコアが悪いと親に叱られるから」と、スコアを誤魔化す子供が増えているといいます。もしかして、改ざんしたプロもそうした環境で育ったのでは……、などと連想してしまいます。

それにしても、「スコアが悪いとしかる」という親は、子供のゴルフをスコアという数字でしか評価してあげられない親なのでしょう。ゴルフに限ったことではありませんが、親が子供を評価してあげるべきは、単なる「結果」ではなく、努力や成長の「過程」のはずです。自分の課題に一生懸命取り組む姿、失敗しても諦めずにまた挑戦する姿勢を評価し、誉めてあげることが大事なはずです。

 これも、あるジュニアの指導者の話ですが、「幼いながらも、男の子には男としてのプライドがあるんです。そのため、スコアが余りに悪いときは、ラウンド後にスコアを声に出して報告することを嫌がるんです。特に、周りに同年齢の女の子がいるときは、もじもじして声に出せない子もいます。なかには、スコアを報告せず、そのまま帰ってしまう子もいました」

 ジュニアの指導者は大変です。それでも、子供たちには「誠実であること」の大切さや、「ゴルフは他人と比較する競技ではなく、コースとの戦いであり、自分自身との戦い」といったことを、少しずつでも理解させる指導をすべきなのでしょう。そして――他人との比較ではなく――昨日より今日、今日より明日と成長する過程を応援し、自信とやる気を持ってもらうようにすべきでは……。

 タイガー・ウッズは、世界中でジュニアクリニックを開いています。そこで彼は、最初にこのような話をします。

「たった1~2時間で、テクニカルなことは教えられない。そうしたことは今習っているコースに習って、練習してください。今日僕が伝えたいのは、ゴルフは楽しんでプレーしなさいということ。僕の父は、最初は僕に練習場で『タイガー、こうやって打ってごらん』と打たせくれただけでした。それ以上は何も言いませんでした。そして数日後、『パパはこれからゴルフの練習に行くけど、君も来るかい』って声をかけてくれた。もちろん僕はゴルフがしたかったから、付いて行った。でも、そのとき他にやりたいことがあれば、父は無理に誘わなかったはず。君たちも、もし今、ゴルフがそれほど好きでないのなら、明日からはゴルフをせず、他の好きなことをしなさい。好きなことは大事にしなさい。そして、いつかまたゴルフをしたくなったときに、クラブを振るようにしなさい」

ジュニアゴルフが盛んになるのはいいことですが、それにはまず子供たちにゴルフを好きになってもらうこと。そして、ゴルフを大事にしてもらいたい。親、そして指導者にはそうした指導をお願いしたいものです。

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2006年9月22日 (金)

斎藤佑樹選手

 高校野球の甲子園大会の優勝ピッチャー、早実の斎藤佑樹選手の人気が凄まじいようです。メディアの注目度からすれば、すっかり「国民的アイドル」といったところでしょうか。

 新聞社系の某週刊誌の特集記事には、

――30代女性も「恋人より息子にしたい」。斎藤君は母性 わしづかみ少年。「息子にしたい。無理か。部下でもいいな。清潔感と凛とした立ち姿に、はまってしまいました。この世界にこんな男の子がいたなんて……」――といった見出しと、書き出しの文章が踊っています。

 本文には、同誌が行った斎藤選手に関するアンケート調査の結果が紹介されています。その中の「どんなところが好きですか?」の問いに、男性は「選手としての実力」が1位なのに対し、女性は「顔だち」と並んで「受け答え」がトップ。続いて「実力」、そして「マウンドでの立ち振る舞い」が魅力という回答が並んでいます。

人気の大きな理由は「受け答え」なのです。男性の目から見ても、斎藤選手のメディアに対する「受け答え」は見事で、感心させられることも多くありました。テレビカメラに真っ直ぐに視線を向け、どんな質問にも誠実に、照れ笑いで誤魔化すことなく、言葉の最後まできちんと発する。その受け答えに、ほとんどの人が好感を持ったことでしょう。アメリカ遠征の序盤で、一時「僕的には」という言葉を連発していたのは気になりましたが、すぐにそれも使わなくなりました。まるでスピーチのアドバイザーがいるかのような、見事な対応でした。

 ところで、こうした斎藤選手の(人格的)魅力で、多くの女性に「息子にしたい」と思わせたという話を聞くと、昨年、宮里藍が世の多くのお父さんたちに「あんな娘がいたら……」と述懐させたことを思い出しました。彼女の魅力も、やはり「実力」と、凛とした「立ち振る舞い」、そしてメディアに対する「受け答え」の見事さです。また、両親や兄弟に対する深い愛情を、照れず、てらわず、素直に表現することでも、「あーぁ、あんな娘がいたらなぁ」と思わせるようです。

 やはり、メディアに取り上げられる人間にとって「受け答え」で見せる表情、姿勢、言葉はとても大事なのです。アメリカの多くのプロスポーツでは、ルーキーの年に「メディアプログラム」といわれる授業を受けます。メディアに対してどういう姿勢で、どういった言葉を発言すべきかをレクチャーされるのです。日本のプロゴルフ界でも一応教えてはいますが、確立したプログラムにはなっていません。ちなみに、プロ野球界では、ほとんど実施されていないようです。

プログラムがない以上、選手たちは自分たちでその必要性を自覚し、意識的に磨いていくしかありません。朴訥でもいいのでしょう、まずは、心の中の感謝の気持ちや情熱、悔しさ、夢などを、言葉の意味を自覚しながら、はっきりと語尾まで言葉を濁さずに発音することです。つまり、自分という存在をアピールする機会を大事にしてもらいたい。そして、次に社会性を身につけること。

プロスポーツ選手にとって「存在感」や「人気」は、日々のメディアへの受け答えからも高められるものなのです。

 それにしても、斎藤選手も宮里藍も「メディアプログラム」という言葉とは無縁の家庭で育ってきたはずなのに、メディアへの登場はいつも見事なものです。

また、斎藤選手のきちんと折りたたんだハンカチで顔を拭く仕種。丸めたハンカチでゴシゴシ拭くのとでは、見るものに与える清潔感に“天と地”の違いがあります。あるいは、大学進学の記者会見の退席時、列の他の椅子までもきちんと元に戻したことなど、いったいどのような家庭環境・家庭教育の中で身につけたのでしょうか。興味がある人は多いはずです。

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2006年9月15日 (金)

スーパースター

先週開催された、日本女子プロゴルフ選手権は、帰国初戦の宮里藍が非常に強いゴルフで優勝しましたね。今年はアメリカツアーに参戦しており、日本はこの大会が今季初出場。それも公式戦です。大きな期待を持たれ、本人のプレッシャーも相当なものだったでしょうが、見事に優勝。私も驚くとともに本当に感心してしまいました。

ヤンキースの松井選手が、怪我から復帰し、4打数4安打の復活を果たしました。これにも本当に驚いたのですが、やはりスーパースターと言われる人には、想像を超える何かがあるのでしょう。そして、それを結果として残してしまうという何かを持っているのではないでしょうか?

もちろん、ゴルフ界では、T.ウッズもやはりスーパースターだと思います。今年、父親の死のショックからか、全米オープンでは予選落ちを喫してしまいました。その後、全英オープンで復活?の勝利。そして、全米プロを含む5連勝を達成しています。本当にスーパースターはやることがすごいです。

スーパースター達は、これからどんなプレーを見せてくれるのか?まだまだ楽しみですね!そして新たなスターが生まれることも期待したいと思います。

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2006年8月30日 (水)

大会のポリシー

フジサンケイクラシックが始まります。この大会の特徴のひとつにマンデートーナメントがあります。マンデートーナメントとは、大会が独自に実施する主催者推薦選考会のことです。トーナメントの出場資格には各種のシード権の他に、主催者推薦という出場権が設けられています。フジサンケイクラシックでは、その推薦枠をすべて恣意的に使うのではなく、出場権を持たないが今好調な選手、“旬”の選手にプレーさせることを目的に、国内ツアーでは逸早く1974年の第2回大会から実施し、毎年上位15選手前後に本戦出場権を与えてきました。その結果、第7回大会(79年)ではマンデートーナメントから出場権を得た佐藤昌一(現・正一)が見事優勝したのをはじめ、マンデートーナメント通過選手がしばしば上位をにぎわせています。00年には、当時・日体大2年の清田太一郎が6位(アマチュア最高位)に入り、話題を呼んだこともありました。

マンデートーナメントは例年、大会週の月曜日に実施していますが、今年は日本オープンの最終予選会と日程が重なったため、先週22日に行い、プロ・アマ合計13人が本戦出場を決めています。その中には、高校3年生の永野竜太郎(水城高3年)が含まれています。しかも、2アンダー69という素晴らしいスコアでの2位通過です。高校ナンバーワンといわれる“大器”ぶりが注目されます。

 もうひとつ、フジサンケイクラシックには世界水準のコースセッティングで覇を競わせるという、これも一貫した大会のポリシーがあります。昨年から会場となった富士桜CCは7496ヤード・パー71という長さに加え、ラフからのアプローチに技と力が求められる設定になっています。これから世界に挑戦しようというプレーヤーにとっては、大きな経験になるはずです。実際、今季米ツアーで実績を挙げてきた丸山大輔は、昨年このコースでの優勝がきっかけでブレークしました。また、全英オープンで5位タイと大健闘し、再度の米ツアー挑戦を目論む谷原秀人が、この舞台でどんなプレーをするのかも楽しみです。

 私はトーナメントをプロデュースする際に、主催者の意向をくみながら大会独自のポリシー、あるいはフィロソフィー(哲学)といったことをまず設定します。そして、その主旨に沿って、コース選びなど具体的な運営を決めていくのです。フジサンケイクラシックは前記の通り、世界レベルのコースを舞台に世界に通用するプレーヤーを育てること。そしてマンデートーナメントを導入することで旬のプレーヤーに活躍のチャンスを与え、ツアーに刺激をもたらすこと。

また、秋の伊藤園レディスでは、米ツアーのようなボランティアが中心となって企画・運営する大会の実現を目指してきました。この大会のボランティア・メンバーは、年々活動規模を拡大させただけではなく、ボランティア意識が高まり、ついに昨年には「伊藤園グリーンクラブ」という常設の組織になりました。そして、大会の半年も前から月1回、自主的にボランティア会議を開き、自分たちで活動の内容を決めているのです。また、夏休みの間に大会コースのグレートアイランド倶楽部で開催されるジュニアのための「キッズゴルフキャンプ」(http://www.itoen.co.jp/golf/06/kidscamp/index.html)の運営協力にも当たっています。「伊藤園グリーンクラブ」の活動範囲は大会の枠を超え、より社会的な貢献を目指しているからです。メンバーの間からは、さらにゴルフをいう枠を超えた、社会貢献活動の提案さえ上がっています。

 新キャタピラー三菱レディースでは、「真夏の大会」ということをキーに、「リゾートでの開催」、ならば「リゾート地にいらしたお客さんをもてなす運営」。そのためには「地域を挙げボランティアでギャラリーを迎える大会運営」を、ということが大会のポリシーになりました。ギャラリーにとっては、運営会社のスタッフやアルバイトの学生に迎えられるよりも、地域のボランティアに迎えられたほうが、どんなに心なごむことでしょうか。しかも夏休み期間中なので、中学生にもボランティア参加を呼びかけたところ、箱根明星中学校からは毎日40名ほどの生徒たちが、また仙石原中学校からは最終日に17名が参加してくれました。会場では、彼ら中学生がキャリングボード(各組に帯同するスコアボード)を掲げながらプレーヤーのあとをついて歩く姿を見ると、我先に急ぐギャラリーも道を開け、「頑張れよ!」と声を掛けるなど、とてもなごやかなムードになっています。

 こうした運営の結果、何が起こったかと言いますと、周辺地域の方を始め毎年来場する、いわば大会のファンが増え、地元・箱根町にすっかり定着したトーナメントとなったのです。そのため、(前々回のこのブログで触れましたが)今年の来場者数は1万1101人。この数字は、宮里藍が3日間とも首位を守り、大いに沸いた昨年よりわずか980人ほど減っただけなのです。これは出場選手の顔ぶれや競技展開に関係なく、毎年来場するというファンが多くなってきたからだと思います。

 宮里藍の米ツアー転出で、今季は国内女子ツアーの人気低下を心配する声がありました。確かにその影響は少なくありません。しかし、大会の盛り上がりをひとりの人気選手に頼ってはいけません。そうではなく、大会の主旨やポリシーをアピールし、それに理解、応援してくれるファンの輪を広げるべきだと思っています。

 米男子ツアーで毎年2月初旬に開催されるFBRオープン(旧名称・フェニックスオープン)は、米ツアーでも最大のギャラリーを誇る大会として知られています。同大会の最終日は、例年、全米最大のスポーツイベントであるNFL(プロフットボールリーグ)のスーパーボウルの日、いわゆる“スーパーサンデー”に当たります。スーパーボウルは全米のテレビ視聴率が50%を超えると言われる一大イベントですから、当日はアメリカ中が朝からその話題で持ちきりです。また、タイガー・ウッズも例年欠場する大会です。にも関わらず、最終日には15万人近い大ギャラリーが詰め掛けます(期間中合計で4050万人)。チャリティなど、地域密着・地域貢献の大会運営が地元に浸透しているからです。

 以前にも書きましたが、4大メジャー競技が「メジャー」と認められているのは、そうした規定があるわけではなく、それぞれの大会主催者にトーナメントに対する確固としたポリシー、信念があるからなのです。そうした姿勢は日本のツアーも見習うべきでしょう。それがなければゴルフトーナメントは、いつまでも目先を変えるばかりで結果の出ない「企業イベント」どまりで、「文化」を育てることはできないでしょう。

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2006年8月27日 (日)

最近のスポーツって?

 今週は、富士桜CCで男子ツアーのフジサンケイクラシックが開催されます。私も早々に会場入りし、大会の準備に当たっています。今年は、昨年のこの大会でツアー初優勝を飾った丸山大輔が帰国参戦します。彼はこの勝利をきっかけに自信を深め、その後の米ツアー予選会に合格。今季米ツアーでは最高位3位など、しばしば上位に入る活躍を見せ、来季シード権を確保しました。一段と成長した彼のプレーを楽しみにしてください。

さて、前回の続きになります。「新キャタピラー三菱レディース」で自らのミスに対して見せた大山志保の爽やかな姿勢と比べると、同じスポーツでも最近のプロ野球やサッカーのゲームでは、どうもすっきりしない、すがすがしさを感じないシーンをしばしば目にするようになりました。

 ゴルフはレフェリーが立ち会わないスポーツで、プレーヤー自らがルール&マナーに則って、すべて自己の判断と責任でプレーを進めるゲームです。当然、そこにウソや誤魔化しがないのが、前提です。『ゴルフ規則』書の冒頭の「ゴルフ規則の本質と精神について」という項には、「数あるスポーツの中でゴルフ競技の大きな特徴の一つは、通常、審判員が立ち会わないということです。それは、ゴルフがフェアプレーを重んずるスポーツであって、『ゴルファーはみな誠実であり、故意に不正をおかす者はいない』ということが基本的考え方になっているからです」という一文があります。

“球聖”ボビー・ジョーンズは、1925年の全米オープンで、深いラフの中のボールにアドレス後、そのボールがわずかに動いた事実を、誰も見ていなかったにもかかわらず自ら申告。結局、その1罰打のために優勝を逃したという有名な逸話があります。しかも、ボビー・ジョーンズは自ら正直に申告したことを周囲が賞賛したのに対して、「私は当たり前のことをしただけ。ならばあなたたちは、誰も見ていないからといって、他人のモノを盗まなかった人を立派だと賞賛しますか?」とただしたのでした。「ゴルファーはみな誠実」――これはゴルフの基本、前提であり、賞賛されることではないのです。

このゴルフの基本的精神と比べると、このところプロ野球で話題になった「誤審問題」には、正直、不快感を拭えません。確かに「誤審」という以上は、審判のテクニカルな問題なのでしょう。しかし、生身の人間である審判には、死角もあり、誤審を皆無にすることはできないでしょう。ところが、テレビ中継を見るファンは、多くの角度からのスロー再生が見られるので、その誤審が分ってしまいます。誤審が分かった上に、監督の抗議による長時間の中断を強いられては、ファンのイライラが募るのは当たり前です。

そして、「当事者の選手は分っているのだから、彼が正直に申告すれば、誤審が正せてすっきりするのに」と思ってしまいます。

野球の場合、誤審の多くは、当事者である選手が正直に申告すれば避けられるはずです。「ショートバウンドのキャッチをノーバウンドと誤審」、「バットに当たったファールを空振りと誤審」……。審判が下したジャッジは最終判断と言われますが、プレーヤーの正直な申告を取り入れる仕組みにはならないものでしょうか。

かつて野球では、誤審を招くようなプレーに際しては、いわゆる「アピールプレー」が教えられていたと思います。例えば、「守備では、ノーバウンドでキャッチャしたときにはアピールしなさい。ショートバウンドのときは、すぐに次のプレーに移りなさい」ということです。守備選手が皆そうすれば、ショートバウンドに対する誤審はまず起こりません。

ところが、今は反対に誤審を誘発するかのようなアピール、つまり「ショートバウンドしているにもかかわらず、ノーバウンドでキャッチしたかのようにアピール」するシーンを目にすることがあります。今のプロ野球界ではそんな指導がされているのでしょうか?

 サッカーでも、大げさに倒れこみ、審判がペナルティを取るように誘発する演技、いわゆる「シミュレーション」が昔より多くなりました。そのため、シミュレーションに厳罰が課せられるようになったのは、この10年の間のことです。それまでは故意に誤審を誘発するようなプレーは余り目にしませんでした。

「レフェリーを欺くのもプレーの一部」というのが、今のサッカー界の世界標準なのでしょうか? 

それが今の野球やサッカーならば、少なくともジュニアには「今の野球やサッカー」を教えたくはありません。

そして、プレーの技術より前に「誠実」であることを指導するゴルフというゲームを誇りにしたいと思います。

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2006年8月26日 (土)

CATレディースの出来事

 先週、大箱根CCで開催された「新キャタピラー三菱レディース」は最後まで優勝の行方の分らない、大詰めを迎えるにつれ上位陣のスコアが激しく動く、とても面白いトーナメントでした。

残念ながら、地上波のテレビ中継は高校野球の甲子園大会決勝の試合時間が延びたために深夜に変更されてしまいましたが、会場には土・日とも4000人を超えるギャラリーがつめ掛け、ゲームに負けない盛り上がりとなりました。3日間のギャラリー総数は1万1000人余りで、これは宮里藍が初日からのトップを守って優勝し、大いに沸いた昨年からわずか900人余、数を減らしただけでした。選手の顔ぶれやゲーム展開に関係なく、来場されるファンがこれほどいることは大変にありがたく、そして私たちの誇りとするところです。このことについては、いずれ詳しく……。

 ところで、今年の「新キャタピラー三菱レディース」には多くの見どころがありました。その中で最も印象に残ったのは、初日に起きた大山志保の超過クラブ(バッグに15本のクラブが入っていた)の違反と、そのときに見せた大山の真摯な態度でした。

 彼女がバッグに規定より1本多い15本のクラブが入っていることに気づいたのは、インの12番のこと。彼女はすぐに競技委員を呼んで自己申告をしました。

「プロとして恥ずかしいんですが、正直、ルール上、どうすべきか分からなかったんです」と大山はあとで告白しています。罰打をどのホールに加え、超過クラブの不使用宣言をどのようにすべきか分らなかったのでしょう。

 しかし、この試合、彼女には3週連続優勝という偉業の期待がかかっており、多くのファンとメディアが注目していました。それゆえ、「期待に応えなきゃ」という思いが強かったと言います。しかも、初日そこまではパープレーと順調に進んでいただけに、ここでのペナルティ(上限の4罰打が付加)は余りにショックだったのでしょう。頭が混乱して当然です。

実際、大山はその後しばらく「頭の中が真っ白でした」と言います。そしてホールアウト後も、ロッカールームでしばらく涙を流していました。

泣いたのは、余りに基本的なミスをおかしたことを悔いたからだけではありません。実は、彼女に付いたハウスキャディが、やはり自責の念で泣き崩れ、クラブ側に翌日の辞退を申し出たのです。大山は、結果的にキャディをそこまで苦しめたことに、どうしようもない悔しさを感じたのでした。

 そして、ロッカールームを出ると、クラブ側に「明日も同じキャディさんでお願いします。二人でやり直させてください」と申し出たのでした。

 それから大山は私のところに、「ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした」と侘びにきました。

「君が侘びる必要はないよ。それよりも、この経験をこれからのゴルフ人生に生かせるように頑張りなさい。人間は、成功よりも失敗の方からより多くのことを学べるんだから」と励ますと、

「はい、ありがとうございます。(初日、3オーバーの70位タイ)明日は、何が何でも予選を通過します」と答えたのでした。

 宣言どおり、翌日、大山は2アンダーで回り、ギリギリで何とか予選を通過しました。

ところが、ホールアウト後、クラブハウス前で大勢のファンにサインしている最中、彼女の後ろに付き添っていたそのキャディが突然、いわゆる熱中症の症状で倒れたのです。聞けば、前夜は自分の失敗を悔やんで一睡もできなかったそうです。そして、ホールアウト後、しばらくして届いた「予選通過」の知らせに、ホッと気が緩んだためのようです。

 救急車が到着するまでの間、ずっと付き添い、看病する大山の姿がとても印象的でした。

 こうしたことがありながら、大山は最終日に6アンダーの好スコアを出し、前日の48位タイから9位タイへとジャンプアップしたのは、見事と言うしかありません。

「3週連続優勝はできませんでしたが、いい経験をさせてもらいました。神様が与えてくれた勉強の機会だったのかもしれませんね」と大山。

「そうだね。これからのゴルフ人生にとっての“宝物”になるといいね」と私。

 今回は絶好調の中でおかしたミスですから、より勉強になるはずです。しかも、ゴルファーにとっては基本的な確認の失敗だっただけに、一生の教訓になったでしょう。彼女が言うとおり、神様がくれた“お灸”だったのかも知れません。

 それだけではありません。2日目も同じキャディとラウンドして、予選通過まで挽回したこと。そこには、互いに信頼しあい、励ましあう、いい関係があったはず。それも、大山の将来にとっては宝物のような経験になるはずです。

「3週連続優勝よりも大切なことを学んだような気がします」と最後に語った大山の表情は、優勝者に負けないくらいとても爽やかでした。

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2006年8月 1日 (火)

全英オープン・・・・

 全英オープンから先日戻って着ました。しばらく日本を離れていたので、バタバタと仕事をしておりました。今週は全英女子オープンが開催されますが、その前に先日の男子の全英オープンのこぼれ話をしましょう。

優勝したタイガー・ウッズの話はあちこちで紹介されているでしょうから、今回はそれ以外のこぼれ話を紹介することにします。

 最終日、タイガー・ウッズの感動のフィニッシュを前に、実は18番グリーンではトラブルが連続して起きていました。何が起こったのか――一部メディアで報じられたようですが――テレビ中継ではまったく触れなかったので、ほとんどの人はご存じないはず。現場で目にした事を、簡単に紹介しましょう。

 まず現れたのが、ストリーカー(streaker)。つまり、全裸の闖入者でした。ちなみに辞書には「これ見よがしに全裸で、公共の場を突っ走ること」とあります。もっとも、全英オープンではストリーカーの登場は珍しいことではなく、現場では「今年も出たか」って、夏場の幽霊話のような感じでした。確かタイガーが優勝した2000年のセントアンドリュースだったと記憶しますが、若い女性のストリーカーがタイガーの前に現れたことがありました。初の全英オープンのタイトルを前に、ちょっと緊張のタイガーもこれには思わず苦笑。プレーを再開する前に、気を引き締め直す時間が必要でした。それ以前にも、虎模様のボディ・ペインティングをした女性が現れたことがありましたし、背中に「19th Hole ↓」(矢印の方向には、お尻があります)と書いた男性がスコットランドヤードと追いかけっこをしたこともありました。

今回、闖入したのも、残念ながら(何が?)、男性でした。18番グリーンをしばし走り回ったあと、拍手喝さいの中、おまわりさんによっておとなしく強制退場させられました。しかし、慣れたものだからでしょうか、大会関係者もギャラリーも騒いだのはストリーカーが18番グリーンにいた間だけ。去った後はざわめきが後を引くことなく、すぐに仕切り直して試合に集中していました。いわゆる「大人の対応」なのですが、その感をさらに強くする出来事が続いて起きました。

テレビ画面で気が付かれた方もいると思いますが、タイガーが18番グリーンに上がったとき、ピン右後方のグリーン上に点々と紫のペイントがついていました。実は、直前にギャラリースタンドの脇から、9個ものカラーボールが投げ込まれたのでした。何らかの主張をしたい団体による妨害行動です。こうした示威行為も大きなイベント会場ではよくあること。彼らにとって、自らの存在を世界にアピールする絶好の機会だからです。そこで事を起こせば、テレビの生中継を始め各メディアによって世界中に配信されるため、事を起こすチャンスを虎視眈々と狙っているのでしょう。しかし、それにまともに対応しては彼らの思う壺。R&Aの対応は、犯人をすみやかに排除した後は、何事もなかったかのように、粛々と競技を進めたのでした。それこそ「大人の対応」です。

私たちも同様でした。解説席で「実は今、こんなことが起きました」と騒ぐこともできました。そうすれば、スキャンダラスな出来事ですから、視聴者の関心をより引くことになったでしょう。でも、それは私たちの役目ではありません。私たちがすべきことは、競技としての全英オープンを正しく伝え、さらにそこで生まれた喜びと落胆、希望と不安といった感動をすくい上げ、全英オープンやゴルフの面白さ、醍醐味を伝えることだと思っています。ですから、ストリーカーのことも、カラーボールが投げ入れられたことも一切触れませんでした。そして、タイガーが最後のパットをタップインし、喜びの感情を爆発させたあとは、しばらく誰も声を発せず、タイガーの嗚咽と彼を讃える会場の拍手だけを伝えたのでした。実際、あの感動を前にすれば、どんな解説も陳腐になったことでしょう。

どんな世界でも、その場の空気を感じ取り、そのなかで自分がなすべきことを察知し、それに全力投入すること。それがプロに求められることなのでしょう。

さあ、今週は全英女子オープンが開催されます。宮里藍・横峯さくら・不動裕理

など日本選手の活躍に期待しましょう。

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2006年7月19日 (水)

全英オープン到着!

 第135回全英オープンの開催地、ロイヤル・リバプールGCにやって来ました。ここはリバプールのダウンタウンから西に直線で10Kmちょっと離れたホイレークという町にある、アイルランド海に面したリンクスです。全英オープンは1967年以来、39年ぶり11回目の開催ですが、私が大会で訪れるのはこれが初めてです。ただし、視察では以前に訪れたことがあります。そのときの印象は……、正直それほどでもありませんでした。ところが今回改めてコースを見てみると、やはりジ・オープンに相応しい風格のあるリンクスです。ただ、このところ全く雨が降らず、しかも連日30度を越える暑さで、フェアウェィが硬く、ティショットが50-60ヤードもランします。TV画面で見ると芝は茶色、グリーンもまだらになっているのがおわかりでしょう。それでもミケルソンもウッズも早めに到着し、練習に余念がありません。

ここで全英オープンは過去10回開催されていますが、歴代優勝者には1924年大会のウォルター・ヘーゲン、1956年大会で大会3連覇を成し遂げたピーター・トムソンといった名選手の名前が並んでいます。しかし、特筆すべきは何と言っても1930年大会のボビー・ジョーンズでしょう。そう、ボビー・ジョーンズがアメリカとイギリスのナショナルオープンタイトル――つまり全米オープン、全米アマチュア、全英オープン、全英アマチュア――を史上初めて同一年にすべて制覇し、“グランドスラム”と賞賛された年の舞台が、ここロイヤル・リパプールだったのです。

その歴史あるリンクスで過去38年間も全英オープンが開催されなかった一番の理由は敷地が狭いことでした。連日2万~3万人もの大ギャラリーや大会関係者が押し寄せる現在の全英オープンには、敷地が手狭だったのです。ギャラリーの安全で快適な観戦、休憩、移動のため、大会スポンサーが招待客のために用意する大掛かりなホスピタリティ・テント開設のため、そして世界中からやってくるメディアのため、今の全英オープンには広いスペースが必要です。しかし、その問題も6年前、隣接する10エーカー(4万平方メートル余り)の土地が売りに出され、かねてから全英オープン招致を願っていた同GCが購入したことで一気に解決したのです。39年ぶりの全英オープン、おそらくリバプールの街から連日大勢のギャラリーが押し寄せ、熱気にあふれることでしょう。その模様は是非ともテレビでご覧ください。

ところで、今でこそ「メジャー・トーナメント」といえば、マスターズ、全米オープン、全英オープン、そして全米プロと一般に認識されていますが、前述のボビー・ジョーンズの“グランドスラム”の話からも分るよう、1930年代初めまでは、一般に「メジャー」といえば両ゴルフ協会主催の公式戦と考えられていました。だからこそ、それを同一年に全制覇したボビー・ジョーンズの偉業に対しては、ニューヨーク・マンハッタンでパレードが挙行されるほどの賞賛の嵐となったのです。ところが、そのボビー・ジョーンズがグランドスラムを達成し、「競技ゴルフで遣り残したことはない」と引退すると、アマチュアゴルフ界は実力も人気・注目度も一気に低下、ファンの目はプロに集まるようになりました。でも、当時はまだ「4大メジャー」という概念は生まれていません。

そのボビー・ジョーンズが中心になって彼の故郷ジョージア州にオーガスタ・ナショナルGCを造成。そして1934年に、そこを舞台に世界中の強豪を招待して「オーガスタ・インビテーショナル」というトーナメントを創設しました。でもそれは、一プライベートクラブが主催する招待競技であり、世間は特別なトーナメントととらえていませんでした。ところが、翌35年の第2回大会を機に大会に寄せる目が一変したのです。最終日15番ホール、ジーン・サラゼンがダブルイーグル(アルバトロス)という奇跡的なショットで先行するクレイグ・ウッドに追いつき、さらに翌日のプレーオフで見事な勝利を収めたのでした。すると、これに全米のメディアが大興奮。既に全米オープン、全米プロ、全英オープンのタイトルを手にしていたサラゼンの勝利を新たな“グランドスラム”の達成と絶賛しました。そして、これをきっかけに同大会は世界中のマスター(名手)たちが覇を競う華やかな大会と認知され、正式に「マスターズ・トーナメント」と名乗ることになったのです。以来、「メジャー・トーナメント」といえばこの4大会を指すようになったのですが、それはUSGAR&A、あるいはPGAツアーが定めたことではありません。「メジャー」の公的な規定はどこにもないのです。また、その後PGAツアーが4大大会以上の高額賞金競技や厳しい出場資格のトーナメントを創設しましたが、それを誰も「メジャー」とは言いません。「メジャー」とは規定や「決め事」ではないのです。結局、メジャーをメジャーたらしめているのは伝統であり、主催者の大会にかける情熱や信念、つまり大会に込めた“思い”の深さなのでしょう。マスターズには、ボビー・ジョーンズから引き継いだゴルフに対する信念があり、全米オープンには全米オープンの厳格な伝統と信念がある。そして、この全英オープンにはゴルフのオリジンであるリンクスを舞台に、世界中の競技者に門戸を開き続けてきたという伝統と誇りがあるのです。そして、その信念に呼応して、選手たちもこのタイトル奪取に情熱を燃やすから、世界中が敬意とともに「メジャー」と認めているのでしょう。

さて、第135回ジ・オープンが間もなく開幕します。この大会をメジャーたらしめている伝統と“思い”の深さに触れてみてください。

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2006年7月17日 (月)

全米女子オープン回顧!


はい!戸張捷です。日本に帰ってきました。日本は梅雨の最中で蒸し暑いですね。ゴルフをプレーするにはちょっとつらい季節かな?でもゴルフは自然との戦いでもあるのです。どんな天気でもめげずにゴルフを楽しみましょう。
今日は、先日終わった「全米女子オープン」についてもう少しお話しましょう。
1946年に(女子プロゴルフ協会主催で)第1回大会が開催され、全米ゴルフ協会が正式に主催をスタートしたのは1953年ですが、全米女子オープンは、今年で第61回目の大会でした。
開催コースは、ロードアイランド州にある"ニューポートカントリークラブ"。
このコースはテレビでご覧いただいた方には、「えつ?アメリカなの?全英じゃないの?」と勘違いしてしまうほどのリンクスタイプのコースでした。実はここのコースはかなり歴史のある名門コースなのです。実は男子の全米オープンの第1回大会が開催されたコースなのです。また、何度かのUSGAのチャンピオンシップも開催しており、1995年には、まだアマチュアだった、あのT.ウッズが全米アマを連覇したコースなんです。
アメリカの東海岸に位置し、ニューヨークから東へ約3時間。ボストンからも2時間という風光明媚な大西洋に面した静かな町にあります。
リンクス特有の重い風とコース内の微妙なアンジュレーションはまさに英国調のリンクスコースです。そこで今年の全米女子オープンは開催されたのです。結果はもうお伝えしましたが、プレーオフの結果、A.ソレンスタムの優勝でした。A.ソレンスタムは、スウエーデンのストックホルム出身の35歳です。スゥエーデンではゴルフのジュニア育成プログラムがしっかりと確立しており、アニカもその中で育った一人でした。1988年、アニカがまだ高校生のころ、同じ町のリサロッテ ノイマンが全米女子オープンに優勝し、それに感動したのを鮮明に覚えているそうです。高校卒業後は渡米してアリゾナ州立大に入り、そこでめきめきとゴルフの腕を上げていきました。全米の学生の試合やアマチュアのトーナメントで活躍し、1994年にプロデビューしました。しかし、その頃は、まだ線の細い、強いけれど、かわいい子だなあという印象のプロでした。日本で開催されていたUSLPGAの東レジャパンクラシック(現ミズノクラシック)には補欠で来日しており、アメリカのツアーのトーナメントディレクターに「彼女はなかなかビジュアルがいいけど、ゴルフはどうなの?」と聞いたのを覚えています。しかしまだプレーのほうはそんなに目立つ存在ではありませんでした。1994年にプロデビューした彼女は順調にキャリアを重ね、
通産69勝。メジャー10勝の名実ともに世界ナンバーワンのプレイヤーになっています。
3年前に彼女は、男子ツアーに出場しました。それは、大会サイドが彼女の人気にあやかりたいとか、彼女が話題作りをしたいと言った理由でなく、世界一強い女子プロゴルファーとして世界最高峰の男子ツアーに出場し、自分の技術を確かめてみたいという素直な気持ちからの出場でした。このニュースは世界中を駆け巡り、大きな話題を呼びました。つまらぬ中傷もありましたが、彼女は精一杯のプレーをし結果は、惜しくも予選通過ならずでした。私は彼女のこの挑戦には拍手を送りたいと思いました。ゴルファーとしてのプライドをかけた彼女のこの挑戦は、素晴らしいものだったのではないでしょうか?もちろん、彼女が世界ナンバーワンだったからこそ、この挑戦には価値があると思いますが・・・

今年の全米女子オープンでは、岡本綾子さんとご一緒させていただいたので、私はマイクを持って、コースに出てレポートをしました。実際にコースを歩くことで、リンクス特有の風や気象条件を肌で感じることができ、また、放送席にいる岡本さんと良い感じで掛け合いすることができたと思います。
私は、J.インクスターという選手に注目していました。結果は+3で6位でしたが、決勝ラウンドは彼女が来るのでは?と思ったくらいです。(予想ははずれましたが・・・)
インクスターは、今年で46歳になる2児の母親でもあるのです。前回、若手が台頭してきているって言いながらも・・・(笑)
1983年にプロ入りした彼女は、現在までにメジャー7勝を含む、通算30勝をあげており、もちろん殿堂入りをしていりプレイヤーです。今回のような「我慢」を強いられるトーナメントでは、彼女の経験とか精神力がものを言うのでは?と思ったのです。
それに今年のツアーでも1勝をあげており、彼女が来る!と強く思ったんですけど・・・
彼女はアメリカでも大変、人気のある選手です。二人の子供を育て、なおかつプロゴルファーとしていまだに第一線で活躍している姿は、アメリカのゴルフファンにも感動を与えるのでしょう。やはりプロゴルファーは「感動を与える」プレーをしてもらいたいですね。
それにしても今年の全米オープン・全米女子オープンはとても思い出に残るトーナメントでした。次のメジャーは全英です。それまでは日本のトーナメントの仕事もしなければ・・・
さあ、今日もゴルフ場へいってきます。

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2006年7月 4日 (火)

宮里藍ちゃんについて

こんにちは!戸張捷です。ゴルフ楽しんでますか?3週間のアメリカ出張を終えそろそろ帰国します。先週の全米女子オープンは見ていただけましたか?今年は初日の濃霧中止で最終日が36ホールの過酷な決勝ラウンドとなりました。72ホールを終え、A.ソレンスタムとP.ハーストがEVENで並び、月曜日に18ホールのプレーオフとなりました。そして、プレーオフの結果は・・・A.ソレンスタムの勝利で第61回の全米女子オープンは幕を閉じたのでした。本当にタフな長い一週間でした。日本の宮里藍はパットの不調に悩みながら28位タイ(+14)。不動裕理は、46位タイ(+17)という結果に終わりました。二人ともタフなコースに苦労しながらがんばったと思いますよ。お疲れ様でした。それにしても今の女子ゴルフの世界は若手の活躍が目立ちます。優勝したアニカやプレーオフを戦ったP.ハーストは30歳代ですが、M.ウィー(16歳)はじめ、ガルビス(23歳)、プレッセル(18歳)、オチョア(24歳)、P.クリーマー(19歳)などなど・・・また、韓国の若手選手が続々登場しています。ひとつにはそれぞれの国でのジュニアゴルファー育成プログラムが成功してきているんだと思います。もちろん、日本の宮里・横峯なども日本のジュニアプログラムから育ってきたわけですが、やはりゴルファーを育てる環境だったり、プログラムだったりは非常に重要なんですね。この辺はまた詳しくお話していきたいと思います。

日本ではワールドカップサッカー一色だったようですが、ゴルフはベストシーズン。残念ながら決勝トーナメントに進めなかった日本チームには4年後に期待して、これからはもっとゴルフを楽しみましょう。

宮里藍ちゃん(もう宮里さんと呼ばなければ失礼かな?)について今回はお話しましょう。彼女とは彼女がまだアマチュアとしてトーナメントに出場しはじめたころからのお付き合いです。5年ほど前、私がプロデュースをしているトーナメントで、これからのトーナメントには元気のある若いアマチュアにもトーナメント出場のチャンスを与え、よりスキルアップしてもらいたい。トーナメント自体のレベルアップも図りたいという思いから主催者の同意を得て若いアマチュアプレイヤーを出場させることになりました。そこに選ばれたのが宮里藍でした。そしてそのトーナメントで彼女は14歳11ヶ月で見事予選を通過。アマチュアの最年少の予選通過記録だったのです。沖縄県出身で真っ黒に日焼けした明るい笑顔と真っ白な歯が印象的な女の子でした。トーナメントのプロデューサーという立場とゴルフキャスターという立場から、テレビ局に「予選を通過したんだから、彼女をゴルフ中継に呼ぼう!」という話をしたところ、当時のテレビ局のKディレクターは、あわてて「えっ?中学生ですよ?大丈夫ですか?」と目を丸くしておりました。私は、例え中学生であろうと出場しているアマチュア選手には変わりは無く、予選通過の最年少記録を作った子なのだから、番組に出てもらい、多くのゴルフファンにも彼女の存在を知ってもらいたいという気持ちもありました。悩むKディレクターを尻目に彼女に出演交渉。すると藍ちゃんは「父に聞いてみます。私でよいのですか?」という、中学生の女の子とは思えないしっかりした態度で答えてくれました。

そして、番組出演。緊張する感じもなく自然体で放送席に来てくれた彼女はとても楽しそうでした。一緒に番組をやっていたアナウンサーが藍ちゃんに「ところで今日はどんな感じでしたか?」という質問をしたところ、藍ちゃんは「それは、ゴルフのプレーについてですか?体調についてですか?」ときりっとした顔で聞いていました。聞き返されたアナウンサーは「うっ!」と詰まってしどろもどろ。中途半端は質問は厳禁ですよ!(笑)

こうした彼女のしっかりした態度や振る舞いだけでなく、もちろんキレのあるプレーにも私は底知れぬ期待をしたものでした。その後の彼女の活躍はもうみなさんもご存知の通り。
実は彼女のプロデビュー戦(2003年伊藤園レディース)は、私がプロデュースをさせていただいているトーナメントの一つでした。マスコミ含めて大きな騒ぎが予想されていただけに主催者の方のご理解を得て、万全の体制で臨みました。彼女が大会の始まる週の月曜日の夜に会場である、グレートアイランド倶楽部に到着したとき、私も彼女を出迎え夕食をご一緒させていただきました。コーチであるお父さんとご一緒だったのですが、藍ちゃんに「何か食べたいものはある?」と聞くと即座に「焼肉食べたいです!」と明るい笑顔で答えてくれました。もじもじすることなどなく、はきはきとした態度、それもプロデビューを前にこの姿は本当に“大物感”がただよっていました。

3人の食事ではいろいろな話をさせてもらいましたが、デビューを前に緊張するというよりは、今の自分の置かれた状況を存分に楽しんでいる感じでした。お父さんのほうが少し緊張気味だったかな?そして、デビュー戦。私も経験したことのないような大勢のマスコミとギャラリー。それになぜか?ゴルフ関係者(笑)が押しかけ大騒ぎの一週間となりました。結果は惜しくも予選落ちでしたが、これからの彼女の歩くプロゴルファーとしての第1歩を私のプロデュースするトーナメントで一緒に味わえたことは私にとっても思い出深いトーナメントとなりました。

今年から本格参戦した、アメリカツアーでも確実に成長を続け、悲願のUSLPGAツアー初優勝ももう目の前ではないでしょうか?全米女子オープンの会場では久々にあうことができ話もしましたが、非常に今の自分を楽しんで、そして成長している姿に父親のように?(笑)うれしくなりました。樋口久子(現 LPGA会長)さん以来のメジャー制覇も夢ではないでしょう。秋には帰国して国内のトーナメントにも出てくれるようです。みなさんもまた藍ちゃんのプレーを楽しみにしてあげてください。

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2006年6月29日 (木)

こんにちは。戸張捷です。

はい!こんにちは。戸張捷です。今日から私のブログが始まります。ゴルフファンの方にはもちろんのこと、これからゴルフを始めようかな?トーナメントを見てみようかな?という方にも楽しんでいただけるようなお話をしていきたいと思います。テレビの中でゴルフキャスターとしてお話をさせていただいていますが、トーナメントの運営をプロデューサーの立場で数多く手がけているので、トーナメントの舞台裏やプロゴルファーの内緒の話など、他ではなかなか聞けない話もすこしづつここに書けたらいいな、と思っております。お楽しみに!

実は、私は、全米オープンと全米女子オープンのゴルフキャスターとしてアメリカにいるんです。最初のお話はアメリカからお伝えします。アメリカのメジャートーナメントはいつ来ても新鮮な驚きとやはり世界一の舞台が完璧に作られているという感じでした。

今日は、先週終了した、全米オープンについてお話しましょう。
今年は、ニューヨーク近郊にある、WINGED FOOT GOLF CLUBで開催されました。結果はご存知の通り、マスターズチャンピオンで、昨年の全米プロからメジャー3連覇かと思われた、P.ミケルソンが最終ホールで悪夢のダブルボギー。逆転で豪州のG.オギルビーがメジャー初制覇を果たしました。試合展開はテレビで楽しいでいただけたと思いますので・・・ここでは、全米オープンについて話をしましょう。このトーナメントは、全米ゴルフ協会(USGA)が主催しています。USGAは、アマチュアゴルファーの総本山的な団体ともいえますが、全米の9500コースが登録コースとなり、90万人の個人会員がいる組織で、アメリカとメキシコを対象にしたゴルフのルール作りをしているところです。(英国のR&A-Royal & Ancient Golf Club of ST.Andrews 全英オープンの主催者。は、その2国の以外のルール作りをしていますが内容はほとんど共通です。R&Aについては後日改めて・・)

USGAは、なんと1894年に創設されています。今から1世紀以上まえですよ!
そこが、ゴルフの競技会を開催しはじめたのが全米オープンの始まりでした。第1回大会は、1895年で参加者はたったの11人でした。今年は106回目!予選会からの総参加者は8、584人で、最終的に156人が全米オープンへ参加しました。なんというスケールでしょうか?日本では想像もつきません。

あまり日本では報道されてないようですが、この大会の賞金総額は、なんと$6,250,000です。私はトーナメントでプロが賞金を稼ぐのは当たり前でとても大事な要素だと思っています。だから、賞金配分の細かいところをよくテレビで話しているのですが、今年は、優勝した、オギルビーは優勝賞金$1,225,000を獲得!そして2位に終わってしまった、P.ミケルソンは、$501,249でした。つまり、ミケルソンの最終ホールのダブルボギーは、約70万ドルの価値だったようです。(あえてドルでお話しています。円に換算したらもっと驚くから)

メジャートーナメントとは、最高の舞台で最高のプレイヤーが最高のプレーをする。という夢の舞台であり、すべてのトーナメントの目標となるトーナメントなのではないでしょうか?今年の全米オープンは優勝スコアが、+5と非常に難しいコースでした。世界のトップレベルの選手が、精一杯プレーしてこのスコア。みなさんも体験してみたいですか?(笑)
無理はせずにゴルフは楽しみましょうね。

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