私が手がけるフジサンケイクラシック、翌週のサントリーオープンと、続けて悪天候により競技が1日短縮され、54ホール・ストロークプレーとなりました。
前者は濃霧が原因で、これはギャラリーも選手もひと目で「プレーは無理」と納得できたため、「中止」に異論は出ませんでした。
一方、サントリーオープン2日目の中止ですが、それにはちょっと慌しい舞台裏があったので、今回はその話を紹介しましょう。
今年のサントリーオープンは、大会初日、6日の夜から翌7日の明け方にかけて、関東西部を縦断していった台風9号の影響で、コースは一晩中、豪雨と強風にさらされてしまいました。
台風に備え、コースの管理スタッフは徹夜で警戒。そして、翌朝は暗いうちから、とりあえず練習場と練習グリーンを整備しました。
当日の第1組のスタートは7時10分。ですから早い選手は6時前にやってきて、まず練習を始めたいからです。
私がコースに到着したのは5時すぎのこと。相変わらず風は強かったものの、激しい雨は止みつつありました。
それから徐々に明るさを増してきたので、コース点検に出かけることにしました。
ところが、カートを走らせてビックリ。
ラフと言わず、グリーンと言わず、はたまたバンカーと言わず、とにかくコース一面、強風でちぎり飛ばされた木の枝・葉で覆われていたのです。印象的にはコースの7割ほども枝・葉がびっしりと散乱していました。
それだけではありません。バンカーも一部は池のようになっていましたし、一部は水は引いたものの、砂が雨に流されて、大きくひび割れしていました。
また、看板やテント、旗といった人工の設置物は、簡単に撤収できるものは前夜のうちに片付けてあったのですが、一部残されてあったものはやはり強風で飛ばされていました。
ざっと点検を終えた時点で、7時10分からの競技開始は無理と判断。選手、それから10人ほどだったでしょう、既に来場されていたギャラリーの方に、競技開始時間を10時に遅らせる旨を、私が場内アナウンスでお知らせしました。
その決定になんら支障はなかったのですが、問題はそのあとでした。天気は・・・・相変わらず風は強いものの・・・・雨は完全にやみ、空も明るくなってきました。
ですから、選手やギャラリーは、「これならもうじきスタートできそうだ」と期待します。また、主催者のサントリー関係者をはじめ、大会関係者も皆、競技開始を待ちわびます。なかでも選手は、54ホールに短縮されれば、獲得賞金に加算される額が、4分の3に減額されますから、どうしても4日間・72ホールでプレーしたいと思います。
とにかく、皆が皆、競技開始を今か今かと待っているのです。
ところが、コース管理は総出で、一心不乱に整備をしても、とても追いつきません。
そのため、私は10時の開始は無理と判断。再度、12時まで遅らせるとアナウンスをしました。
当然、あちらこちらから「できるんじゃないの?」といった不満の声が、特に選手の間から強く聞かれました。
そこで私は、ハウス食堂をのぞき、そこで待機している選手に相談することにしました。
芹澤信雄プロら何人かの選手がいたので、
「誰か私と一緒に、コースを見てくれないかな?」と提案。
それに細川和彦プロが「僕が行きましょう」と同意してくれたので、二人でカートに乗って、再度、整備の進捗具合を見ることにしました。9時30分頃だったと思います。
「どう? これじゃ、今日のスタートは無理だろう」
「そうですね。とてもできませんね」と細川。
散乱する枝・葉の数が半端ではありません。急いで中途半端な整備をしても、例えばフェアウェイに飛んだボールが落ちている枝に当たってラフの方へ跳ねてしまう、といったことが十分に起こりえます。それでは、ショットに対する公平性が保たれません。
コースが「競技不能」の状態であることを細川プロに納得してもらうと、ハウスに戻って、主催者・ツアー機構など大会関係者と協議した上で「中止」を決定。そして、場内アナウンスをしました。
もちろん、選手の間からは不満の声があがりました。前週に続く54ホールへの短縮ですから、当然の反応です。
でも、その声に対して、一緒にコースを視察した細川プロが、「今日は無理です。今、僕が見てきました。スタッフ総出でコース整備をしてくれていますが、それでも今日一日かかります」と選手の目で見た現状を説明し、他の選手を納得させてくれたのです。
言うまでも無く、ツアートーナメントは主催者だけのものではなく、選手、ツアー機構、コース関係者、競技運営スタッフ、メディア、そしてギャラリー・・・・、トーナメントにかかわるすべての人のものであり、皆が参加して作り上げるものです。
ですから、その皆が納得して、同じ方向を向けるようになれば、トーナメントはずっと盛り上がりを増すはずです。
そして、トーナメント・プロデューサーの仕事とは、大会をそうした方向に持っていくことなのです。関係者みんなでトーナメントを盛り上げる雰囲気作り・・・・これもトーナメント・プロデューサーの大事な仕事なのです。
ちなみに、8月の女子ツアーの新キャタピラー三菱レディースも2日目は、早朝、霧が立ち込め、スタートが大幅に遅れました。
そこでの私のプロデューサーぶり、私の舞台裏での仕事ぶりを、川原由維プロの父親、徹夫氏が自身のブログ(8月21日掲載)で、愛情をもって紹介してくださっています。下にURL(アドレス)を載せましたので、ご覧になってみてください。
http://blog.golfdigest.co.jp/user/teppoh/daily/200708/21